特に衝撃的なのは、削除や制限の理由です。記録された事例のうち、Metaの公式ポリシーに明確に違反していると特定できたのは、わずか32.5% に過ぎません 。つまり、パレスチナ関連コンテンツの大部分は、明確なポリシー違反がないにもかかわらず、削除または制限されていたことになります。これは、ルール違反に対する対応ではなく、パレスチナ人の声全体を標的とする、より広範なパターンの存在を示唆しています。
この組織的な抑圧において、特に問題視されているのがMetaの**「危険な組織および個人(Dangerous Organizations and Individuals:DOI)」ポリシー**です 。このポリシーは本来、テロリズム関連コンテンツへの対策として設計されたものですが、パレスチナ人の言論を規制するためのツールとして不適切かつ過剰に適用されていると報告書は指摘しています
。
具体的には、ジャーナリスト、人権活動家、あるいは単にニュースや人道支援情報を共有する一般ユーザーまでもが、このDOIポリシーの対象となり、結果としてパレスチナ人の声は「危険なもの」であるという前提で扱われているのです 。
数値を見れば、その偏りは歴然です。制限の理由が示されたケースのうち、57.2% がDOIポリシーに基づくものでした。そして、ジャーナリストに関するケースに限ると、その割合は71.1% にまで跳ね上がります 。
ユーザーが異議を申し立てても、大多数は意味のある応答を得られませんでした。報告書は、「Metaは圧倒的多数の異議申し立てに回答しなかった」と記録しています。7amlehが影響を受けたユーザーに代わって提出した2,828件の異議申し立てのうち、ほぼ半数が未解決のまま放置されています 。
さらに悪質なのは、273件の「プラットフォーム・ガスライティング」 の事例が確認されたことです。これは、ユーザーに対して「アカウントはアクティブで制限はない」と伝えながら、実際には投稿の可視性低下やエンゲージメントの減少、コンテンツ抑制が続くというものです 。
これらの事例は、単なるモデレーションの「ミス」や「行き過ぎ」ではありません。報告書は、パレスチナ人が直面しているのはもはや「投稿の削除やアカウントの停止といった個別の行為ではなく、自動化されたモデレーション、AIによる監視、DOIポリシー、国境を越えた政治的圧力、さらにはイスラエルの法律までもが統合された『統制の構造』へと進化している」と結論づけています 。
この現象を表現するために、報告書は新たに**「プラットフォーム殺戮(プラットフォーミサイド)」** という用語を提唱しました 。これは、パレスチナ人のデジタル上の存在を組織的かつ意図的に抹消する行為を指し、単なる一連のモデレーションエラーを超えた、権利に対する実存的な脅威であると位置づけています
。
このデジタル上の弾圧は、特に2023年10月7日以降、ガザでの紛争激化に伴って顕著になりました。クリスティアーノ博士は、「まさにパレスチナ人がプラットフォームを最も必要としていた時に、弾圧は強まった」と指摘しています 。
本調査の結果は、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)やBBCによる過去の調査、そしてMeta自身が委託した人権レビューの結果とも一致しています 。これらの証拠を踏まえ、報告書はMetaに対して以下の改革を求めています
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7amlehのアドボカシーマネージャー、ジャラル・アブハテル氏は声明で次のように述べています。「パレスチナコンテンツに対するMetaの継続的な差別的慣行は、表現の自由に関する国際基準の明らかな違反です。我々はMetaに対し、パレスチナ人が抑圧や差別なくデジタルプラットフォームを利用できる権利を確保するため、真剣かつ緊急な措置を講じるよう求めます」。