海王星の外側に広がるカイパーベルトで、これまで知られていなかった27個の小さな天体が見つかった。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡を組み合わせた観測は、太陽系に残る最小級の「惑星の材料」を直接調べる、きわめて深い探査となった。
注目すべきなのは二つの結果が同時に得られたことだ。非常に小さな海王星以遠天体(TNO)は予想より少ない。しかし、その表面の色には、どのような環境で生まれたかを示す特徴が今なお残っている。小天体の数を減らすほど強い衝突や変化があったなら、表面も塗り替えられていてよさそうだ。この一見した矛盾が、太陽系外縁部の歴史を解く新たな手掛かりになる。
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ウェッブとハッブルが見つけた27天体
研究チームはカイパーベルトで新たに27個のTNOを確認した。いずれも太陽の周りを海王星より外側で回る氷に富む小天体で、一部は直接観測されたTNOとして最小・最暗級に入る。成果は学術誌『The Astronomical Journal』に掲載された相互補完的な2本の論文で報告された。
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観測では、ウェッブが近赤外線カメラ(NIRCam)による深い赤外線データを提供し、ハッブルが可視光での観測を担った。可視光と赤外線を合わせることで、天体の色や軌道の性質を調べた。
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ただし、これらの天体を望遠鏡で円盤状に撮影できたわけではない。見えているのは遠方の微弱な点光源であり、直径は明るさから反射率(アルベド)を仮定して推定される。したがって今回の成果の強みは、各天体の厳密な物理量を確定することより、天体集団全体の傾向を捉えた点にある。
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最小級の天体は、なぜ予想より少ないのか
今回の調査は、従来の直接探査よりも暗いTNOまで到達した。その明るさの分布は、より大きなTNOの分布をそのまま小さい領域へ延長して予測した場合に比べ、最小級の天体が少ないことを示している。
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これは、太陽系外縁部で惑星のもとになる微惑星がどのように形成され、その後どう変化したかを説明するモデルへの挑戦でもある。ただし、今回の観測だけで原因が一つに決まったわけではない。主な可能性は二つある。
- 形成時から少なかった可能性:微惑星を生む初期の過程が、理論の一部が想定するほど小天体を多く作らなかった。
- 後から減った可能性:当初は多く存在した小天体が、衝突による破壊や、その後の軌道進化によって選択的に失われた。
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色が示す「生まれ育ち」の違い
可視光と赤外線で測る色は、TNO表面の性質を大まかに映す指紋のようなものだ。今回の新天体でも、すでに大きなTNOで知られていた色と軌道集団の対応関係が続いていた。力学的に「低温」と呼ばれる集団と、「高温」と呼ばれる集団では、異なる色の傾向が見られる。
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ここでいう「低温」「高温」は、実際の温度を意味しない。力学的に低温な集団は、軌道傾斜角が小さいなど、比較的乱されていない軌道を持つ天体群を指す。対して力学的に高温な集団は、より励起された軌道を持ち、太陽系初期の変動で移動・攪乱された集団と一般に結び付けられる。
重要なのは、この集団ごとの色の違いが、今回見つかった極めて小さな天体にも残っていたことだ。衝突、侵食、その他の長期的な過程があっても、表面は完全には一様化されなかったとみられる。すなわち小天体は、初期の形成環境の手掛かりを保持している可能性がある。
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カイパーベルト進化モデルへの難題
小天体が少ないという事実と、色の違いが保たれているという事実は、同時に説明されなければならない。
小天体の不足が形成当初からのものなら、微惑星形成モデルは、小天体の生成数が少なかった理由と、力学的に低温・高温の集団それぞれで異なる表面組成の履歴が生まれた理由を両立させる必要がある。
一方、衝突などによって後から小天体が減ったのなら、その過程は数を減らしつつも、形成場所の違いを示す色の特徴を消さない形で起きたことになる。この緊張関係こそが今回のデータの価値であり、カイパーベルトの初期サイズ分布と、その後の衝突進化の激しさの両方を絞り込む材料になる。
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調査を率いた研究者と、まだ残る限界
二つの補完的な解析は、博士課程の研究者アナスタシア・N・モーガン氏とマリエル・R・エドゥアルド氏が主導した。研究の一方は超微弱TNOの明るさ分布を、もう一方は色・組成と力学的集団の関係を主な焦点としている。
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研究者らは、この計画をこれまでで最も深いTNO調査と位置付けている。従来は主に明るい天体からの外挿でしか扱えなかった領域へ、直接観測を押し広げた。
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もっとも、観測した空の領域は限られ、27個の発見はカイパーベルト全体の完全な国勢調査ではない。各天体の正確な直径、アルベド、詳細な組成や、小天体不足の決定的な原因は、まだ定められない。現時点で最も確かな結論は、これは集団としての傾向を示す証拠であり、微惑星形成と衝突進化の次世代モデルをより厳しく検証できるようにした、という点だ。
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今回の核心は、27個の暗い天体が加わったことだけではない。小天体は数の上では少ない一方、表面には太陽系の幼少期を記憶するような痕跡を残していた。カイパーベルトの小さな世界は、太陽系がどのように作られ、どれほど激しく変化してきたのかを語り始めている。