Appleが、企業向けサーバー市場への再参入を視野に入れ、AI推論専用のサーバーを検討していると報じられた。米メディア「The Information」の報道をロイターが伝えたもので、構想中の製品は早くても2029年以降の投入が想定されているという。ただし、AppleとNvidiaはいずれも直ちにコメントしておらず、ロイターもこの報道を独自に確認できていない。
1
3
想定される構成はM8 Ultraを2基または4基
報道によると、Appleは次世代の高性能チップ「M8 Ultra」を2基または4基搭載できるAIサーバーを開発している。主な用途は、学習済みAIモデルを実運用で動かし、文章や回答を生成したり、データを分析したりするAI推論だ。モデルの学習そのものに主眼を置くシステムとは用途が異なる。
1
2
複数の自社製チップを組み合わせるこの構想は、Macなどで培ってきたAppleシリコンの戦略を、データセンター向けの計算基盤へ広げる動きといえる。
1
3
NvidiaのNVLink Fusionを採用する可能性
Appleは、複数のM8 Ultraの相互接続や、より大きなデータセンター環境との連携に向け、Nvidiaのネットワーク技術「NVLink Fusion」の採用を協議したとされる。報道では、専用メモリーを組み合わせる構成も伝えられている。
3
NVLink Fusionが採用されれば、Apple製チップをサーバー向けの設計でスケールさせるための重要な接続基盤となる可能性がある。一方で、Nvidiaの技術を使わずに製品化される可能性もあり、プロジェクト自体が中止される余地も残る。
3
Appleはすでに自社向けAIサーバーを運用
Appleは外販用サーバーを発表してはいないものの、自社のAIやサービスを支えるデータセンター向けサーバーにはすでに取り組んでいる。2025年にはFoxconnと米テキサス州ヒューストンで、Appleのデータセンター向けサーバーを組み立てる施設で協業する方針を発表。その後、同工場からAIサーバーの出荷が始まったとロイターが報じた。
9
10
また、ロイターが7月に伝えた別の報道では、AppleはAI実行向けサーバープロセッサーの開発を強化するため、チップ企業の買収を模索しており、社内AIサーバーにはApple設計のM2 Ultraが使われているとされた。
4
仮にM8 Ultra搭載機を外部の企業顧客へ販売するなら、Appleにとっては自社利用のインフラから、企業向け製品へ踏み出す大きな転換となる。
Xserve終了以来の「サーバー復帰」になるのか
この製品が専用の企業向けサーバーとして発売されれば、Appleが2011年に「Xserve」を終了して以来、初のサーバーハードウェアになる可能性がある。
1
ただし、Appleがサーバーを保有・運用していないわけではない。焦点は、Appleが自社サービス向けに培ったAIインフラの技術を、外部企業にも販売する事業へ転換するかどうかにある。
9
10
Nvidiaとの関係にも注目
AppleとNvidiaの連携が実現すれば、両社の過去を踏まえても注目を集めそうだ。ロイターは、特定のMacBookで起きたNvidia製グラフィックスチップの不具合を巡る対立を含め、両社の関係には長年の緊張があったと指摘している。
1
もっとも、現段階で確認されているのは、Appleがこの構想でNvidia技術の利用を検討したという点にとどまる。正式な提携、最終的な製品設計、発売のいずれも発表されていない。
1
3
現時点で分かっていること
報道が事実であれば、AppleはM8 Ultraを2基または4基使うAI推論サーバーを軸に、AIインフラ分野へ踏み込むことになる。NvidiaのNVLink Fusionは、その拡張性を左右し得る要素だ。
ただし、投入時期は2029年以降と遠く、計画は未確認の段階にある。Nvidiaの技術が採用されるのか、そもそも製品が市場に出るのかは、まだ分からない。
1
3