中国科学院が運用する研究船「科学号(Kexue)」は、35日間にわたる西太平洋の調査航海を終え、中国・山東省青島に帰港しました。航海距離は5,845海里。単一の実験に絞るのではなく、台風の観測、物理海洋学、海洋生態系、海水化学、海底地質を横断して、同海域が気候や海上環境に与える影響を調べました。![]()
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調査の焦点は「海流」と「地質」
今回の航海では、大きく2つの科学的な問いが掲げられました。
- 西太平洋の海流系や暖水プールの変動は、気候と海洋環境にどのような影響を与えるのか
- 複雑な地質形成の歴史は、地域の資源や周辺環境とどう関係しているのか
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西太平洋の暖水プールとは、熱帯域に広がる海面水温の高い海域です。暖かい海水の分布や海流が変わると、海と大気の間で熱や水蒸気が移動する仕組み、さらには気象システムの発達にも影響します。科学号は、こうした短期的な大気・海洋現象と、長期的な環境変化を同じ航海で捉えようとしました。
海と大気、海底を一体的に観測
研究チームは、海水の深さ方向の状態から大気との相互作用、生態系、海底の地質までを調べるため、複数の観測機器と採取手法を使いました。主なものは次の通りです。
- 電気伝導度・水温・深度を測る、全深度のCTD観測
- 海底堆積物や地質の歴史を調べるボックスコアとグラビティーコア
- 海中を漂いながら水温などを測るLangyaプロファイリングフロート、漂流ブイ、海中グライダー
- 物理・生物・化学分析のための海水サンプル採取
これらを組み合わせることで、海面と大気の相互作用、海流や水塊の構造、海洋生態系、海水中の化学物質、海底の地質過程を、別々の現象ではなく一つの連続したシステムとして分析できます。![]()
台風3個をリアルタイムで追跡
航海中、科学号は台風バービー、台風ノウル、台風ドルフィンを観測しました。研究チームは、台風の通過に伴う海洋と大気の境界層の変化を記録し、リアルタイムで立体的に捉える海洋・大気観測能力の構築に貢献したとしています。
報告された観測値には、気圧約996ヘクトパスカル、風速約毎秒15メートル、1時間当たりの最大降水量約が含まれます。台風の強さは大気の状態だけで決まるものではなく、発達中の低気圧が海面近くの海水や海洋・大気境界層とどう相互作用するかにも左右されます。