このような相互融通は、例えば次のような状況で機能する。
緊急時に柔軟に燃料を融通できることで、エネルギー供給の安定性を高める狙いがある。
両首脳はさらに、石油備蓄や石油製品の交換を含む備蓄協力を強化する方針でも一致した。
備蓄の協力には主に2つの目的がある。
エネルギーの多くを海外から輸入する日本と韓国にとって、備蓄戦略の連携は価格急騰や供給不足の影響を緩和する重要な手段とされる。
今回の合意を急がせた最大の要因は、中東情勢の不安定化だ。両国は原油やLNGの多くを湾岸地域から輸入している。
とくに重要なのがホルムズ海峡である。ペルシャ湾と外洋を結ぶこの海峡は世界有数のエネルギー輸送ルートであり、軍事衝突や航行リスクが高まれば、アジア向けの石油・ガス供給に直ちに影響が出る可能性がある。
そのため、ソウルと東京では、エネルギー安全保障を外交・安全保障政策と密接に結びつけて考える動きが強まっている。
安東サミットでは、エネルギー分野にとどまらず、供給網の強靭化や経済安全保障についても協力を深める方針が確認された。
近年、地政学リスクや市場の変動により、エネルギーや重要資源の供給網は不安定になりやすい。両国はこうした状況に対応するため、重要物資の安定確保や産業基盤の維持に向けた協調を進める考えだ。
また、首脳は米国との連携を含む安全保障協力を維持・強化する方針も改めて確認した。
日本・韓国・米国の三国協力は、地域の安全保障だけでなく、エネルギー供給や経済インフラの安定にも関係するテーマとして重要性を増している。
今回の安東サミットは、エネルギー政策が東アジア外交の重要テーマになっていることを示した。原油やLNGの相互融通、備蓄協力、供給網の調整といった具体策を通じて、日本と韓国は世界的な危機の中でもエネルギー供給のレジリエンス(回復力)を高める戦略を模索している。
輸入依存度の高い二つの経済にとって、今回の合意は単なる燃料取引ではなく、危機時でも経済を動かし続けるための協力枠組みとして位置づけられている。