『The Duskbloods』は、単に『DARK SOULS』系のアクションRPGへマルチプレイを付け足した作品ではありません。プレビューで明らかになったのは、8人の超常的な戦士が、敵との戦闘、プレイヤー同士の競争、一時的な共闘、そして段階的な脱落を乗り越えていく、試合形式のPvPvEゲームです。2026年8月に実施されたクローズドネットワークテストでは、その独特な構造が垣間見えました。一方で、初回セッションがサーバー障害によって早期終了する場面もあり、オンライン基盤の検証がテストの重要な目的だったことも浮き彫りになりました。46
8人の「血誓者」が目指す“始まりの血”
各試合には、最大8人の「血誓者(Bloodsworn)」が参加します。特別な血の力によって人間を超えた能力を得た存在で、人類社会が終わりを迎える「黄昏の時代」に召喚され、“始まりの血(First Blood)”を巡って戦います。171826
特徴的なのは、敵と他のプレイヤーを同時に相手にする点です。目の前の怪物を倒すために別の血誓者と手を組むこともできますが、その協力関係は一時的なものにすぎません。敵を倒した直後に味方だった相手を襲う、別のプレイヤー同士の戦いを利用して漁夫の利を得る、といった判断が常に求められます。
試合は複数のフェーズに分かれており、敵やライバルの血誓者に対処しながら勝利や進行に関わるポイントを獲得します。ポイントを十分に稼げなかったプレイヤーは、フェーズが進むにつれて脱落。公式のテストガイドによれば、8人で始まった戦いは聖杯による選別で人数を減らし、最後は3人の血誓者が決勝戦に臨みます。145051
つまり、1対1の決闘に勝てばそれで終わり、というゲームではありません。強敵との戦闘を優先するのか、ライバルを攻撃するのか、短時間だけ共闘するのか、次の脱落を生き残るためにポイントを確保するのか。フロム・ソフトウェアらしい緊張感のあるアクションに、試合全体を見渡す戦略性が加わっています。操作感は『Bloodborne』や『ELDEN RING NIGHTREIGN』を思わせる一方、より高い機動力と8人規模のフェーズ制が独自のプレッシャーを生み出すとプレビューでは説明されています。51
テスト版で使えた血誓者は6人
ネットワークテスト版では6人の血誓者を操作できました。正式版では10人以上の登場が予定されており、限られた人数ながらも、武器、特殊能力、移動方法が大きく異なるキャラクター構成を確認できます。1213
スナイパー・レイラは近接と遠距離を切り替える
スナイパー・レイラは、『The Duskbloods』の方向性を象徴するキャラクターの一人です。両手に「ヒエログリフ・カタール」と呼ばれる短剣のような刃を持ち、近距離では二刀流で戦う一方、遠距離では大型のスナイパーライフルを使います。5058
敵から距離を取って狙撃するだけの、典型的な後衛キャラクターではありません。状況に応じて接近戦へ移行し、攻撃のテンポを変えられるのが大きな特徴です。さらに、胸部からガトリングガンを展開する能力も紹介されており、ゴシックな世界観と大胆なキャラクターデザインを、実際の戦闘スタイルの違いへ落とし込んでいます。535860
ゾークは移動そのものが個性になる
ゾークは、より奇抜な方向へ振り切った血誓者です。ジェットパックを備えた潜水服でマップを飛び回るキャラクターとして紹介されており、サーベルを使う比較的オーソドックスなアルバートとは対照的な存在です。5758
高低差のある場所で敵や他のプレイヤーと遭遇する本作では、移動性能そのものが戦術になります。遠回りして高所を取る、敵の頭上から奇襲する、危険な場面から一気に離脱する――キャラクターを選ぶことは、見た目を変えるだけでなく、試合への向き合い方を変えることになりそうです。
8月のネットワークテストで分かったこと
公式テストは、太平洋時間の8月21日から23日にかけて、4時間ずつの5セッションに分けて実施されました。地域によっては最終セッションが8月24日にかかるスケジュールです。ネットワークテストは発売版をそのまま体験するものではなく、サービス開始前のパフォーマンスやサーバー負荷を検証するためのものと説明されています。248
テストガイドでは、舞台の一つである「ローワンロ市(Lowanro City)」で、フェーズ制と脱落の仕組みを確認できました。プレビューでメディアがプレイしたビルドもネットワークテスト版と同じものだったとされています。5051
そのため、今回の情報から本作の基本ループを理解することはできますが、正式版のキャラクター数、マップ、バランス、全システムについて断定することはできません。
また、テストの初回セッションは、ログインやサーバーに関する深刻な問題を受けて早期終了しました。これだけで完成版の品質を判断することはできませんが、発売前に大規模な負荷テストを行う必要性を示す出来事にはなりました。46
フロム・ソフトウェアはマルチプレイ路線へ転換するのか
『The Duskbloods』が、フロム・ソフトウェアにとって大きな方向転換であることは間違いありません。これまで培ってきた手応えのあるアクションを、スコア、敵の処理、一時的な協力、プレイヤー同士の競争、脱落が絡み合うオンライン対戦へ持ち込んでいます。任天堂も本作を、従来型の一人用アクションRPGではなくPvPvEタイトルとして紹介しています。1726
ただし、この作品だけを根拠に、同社が今後すべての作品をマルチプレイ中心へ移行すると考えるのは早計です。ディレクターの宮崎英高氏は、本作がオンラインマルチプレイに重点を置くことは、今後の開発方針全体がよりマルチプレイ中心になることを意味しないと説明しています。45
現時点で最も安全な見方は、『The Duskbloods』がフロム・ソフトウェアによる意欲的な実験だということです。シングルプレイ作品を捨てる宣言ではなく、同社のアクションゲームをまったく異なる試合構造で試すタイトルと見るべきでしょう。
なぜ初代SwitchからSwitch 2へ移行したのか
本作の開発は、まだ『ELDEN RING』の制作中だった2021年に、初代Nintendo Switch向けの小規模なプロジェクトとして始まりました。しかし、企画が具体化していく中でNintendo Switch 2の計画が浮上し、開発方針は新ハードを前提に再構築されました。123344
宮崎氏へのインタビューをもとにした報道では、初代Switchでは本作の構想を実現するうえで大きな技術的課題があり、Switch 2の性能向上によって実現可能性が高まったとされています。3638
8人のプレイヤー、敵キャラクター、広いマップ、複雑な能力、そして高速な移動を同時に成立させる必要がある本作にとって、Switch 2専用タイトルになった経緯は、単なる世代交代以上の意味を持ちます。
発売時期と対応機種
任天堂は『The Duskbloods』をNintendo Switch 2専用タイトルとして掲載しており、発売時期は2026年としています。現時点で、具体的な発売日は確認されていません。1823
ネットワークテストから見えてきたのは、フロム・ソフトウェアが8人の血誓者を一つのマップへ送り込み、敵との戦いとプレイヤー同士の駆け引きを同時に成立させようとしていることです。レイラがカタールからスナイパーライフルへ持ち替え、さらには胸部のガトリングガンまで繰り出す一方で、ゾークはジェットパック付き潜水服で空中を駆け回る。そうした強烈な個性を、フェーズ制の脱落バトルにどう組み込むのかが、本作の最大の見どころになりそうです。
テストはその可能性を示すと同時に、オンラインゲームとして安定して動かす難しさも明らかにしました。2026年の発売に向けて、今後はキャラクターやマップの拡充だけでなく、サーバー環境とゲームバランスの仕上がりにも注目が集まります。