カオ氏の楽観論は、これまでの公式発言と一貫している。2025年後半には、フィリピンと中国の二国間緊張がCOC交渉を遅らせている実質的な問題のリストには含まれていないとし、文言の最終化に「全幅の信頼」を置くと語っていた 。このトーンは、加盟国間や中国との非公式な意見の相違が続く中でも、外交プロセスを公的に「オントラック」に保つというASEAN事務局の伝統的な役割を反映している。このような組織としての姿勢は、中国の外交メッセージとも合致する。王毅中国外相は2025年7月にカオ氏と会談し、スケジュール通りにCOCを完成させるよう呼びかけ、協力の重点分野として位置づけていた
。
交渉を「中国の罠」と見る国防相と、現実的な短期目標と見る事務総長。この明白なトーンの乖離こそが、海洋安全保障を巡るASEAN主導の外交が抱える、危ういバランス感覚を象徴している。
この公然としたドラマは、本質的な行き詰まりを覆い隠してはならない。ASEANと中国は2022年に単一の交渉草案文書を完成させたが(これは節目としてしばしば引用される)、その文書は機密扱いのままであり、以下のようないくつかの決定的な紛争点が未解決である:
2026年のASEAN議長国であるマレーシアは、任期中の最終草案策定を優先事項として推進していると伝えられている 。しかし、2026年6月の時点で、合意に至った最終文書が存在するという公的な証拠はない。カオ事務総長自身も「交渉は容易な仕事ではない」とし、「解決すべき多くの問題がある」ことを認めている
。この理想と現実のギャップが、南シナ海の平和的な解決への道のりを今後も困難なものにしている。
Comments
0 comments