Nvidiaのジェンスン・フアンCEOは、英国のネオクラウド事業者Nscaleに対し、遅れているデータセンターを稼働させるため「昼夜を問わず」取り組むよう伝えたという。一方、ベルリンでのCNBCインタビューでは、ネオクラウドへの需要を「桁外れ」と表現し、事業拡大の制約として運転資金の不足を挙げた。
49
54
ただし、需要が強いことと、新しい設備を予定どおり完成させて稼働できることは同じではない。Nscaleのプロジェクトには、電力確保や建設の遅れがある。
フアン氏が訴えた「スピード」とネオクラウド需要
Bloombergによると、フアン氏は一部のデータセンター計画に遅れが出ているNscaleに、建設・稼働を急ぐよう求めた。
49 別のCNBCインタビューでは、AI向け計算能力を貸し出すネオクラウドの需要は非常に強い一方、成長には運転資金が必要だと説明した。
54
この2つの発言は、事業の異なる課題に触れている。需要が旺盛なら設備を増やす理由にはなるが、事業者は施設を完成させ、電力を確保し、建設費をまかなわなければ、計算能力を顧客に提供できない。
Nscaleの遅れが示す、容量を届ける難しさ
英国エセックス州ラフトンの計画は、需要と供給開始の間にある隔たりを示す。Reutersによると、Microsoftは同施設の主要顧客となる契約から撤退した。背景には、電力の接続時期が2030年代にずれ込む見通しがあった。Microsoftは、この判断は単一の施設に関するものだと説明している。
17 報道が示しているのはラフトンでの電力供給の問題であり、AI計算能力への需要がなくなったということではない。
ノルウェーの旗艦プロジェクトでは、別の実行上の課題が報じられている。Bloombergによると、工事は予定より約6カ月遅れており、計画した容量をいつ稼働させられるかに疑問が生じている。
18
強い需要があっても、資金調達の不確実性は残る
投資家の評価も、Nscaleにとって別の課題となっている。Bloombergは、同社が目指すと報じられた300億ドルのIPO評価額に投資家から異論が出ており、一部は160億〜190億ドル程度を提案していると伝えた。これらは報道された目標や投資家の見方であり、上場後に確定した企業価値ではない。
21
その一方で、NscaleとAnthropicは、最大で約450億ドル規模となる可能性のあるクラウド計算契約について協議していると報じられた。ただし、交渉中であり、契約が成立したわけではない。
20 大口需要が見込まれても、設備の完成時期や投資家による評価には不確実性が残りうる。
NvidiaのDSX PODで短縮できること、できないこと
ベルリンでのGTCでNvidiaが発表したDSX PODは、パートナー企業が組み立て、検証してから納入する、Vera Rubin世代のAIファクトリー向けリファレンス設計だ。Nvidiaによると、敷地の電力などのユーティリティーが整っていれば、現地での導入期間を約6カ月から最短14日に短縮できるという。
10
これは、準備が整った現場での導入期間についての説明であり、送電網からの電力不足を解消したり、建設や資金調達の障害をすべて取り除いたりするものではない。機器の設置を速められても、施設を稼働させるためのインフラは必要だ。
需要の強さと、稼働の確実さは別問題
フアン氏の発言は、ネオクラウド需要への自信を示すと同時に、Nscaleに実行を急ぐよう促すものだ。ラフトンやノルウェーの計画をめぐる報道は、需要に見合う設備を供給するには、電力を確保し、建設を終え、実際に稼働させる必要があることを浮き彫りにしている。現時点の報道は、この緊張関係を示しているが、Nscaleの遅れが解消したとは伝えていない。
17
18
49
54