NVIDIAはトロントで開催されたIEEE Quantum Weekで、オープンソースの量子計算プラットフォーム「CUDA-Q」を拡張し、「CUDA-Q Logical」を発表しました。これは、耐障害量子コンピュータ向けアプリケーションを、プログラム可能かつ検証可能な形で設計するためのオーケストレーション層です。
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焦点となるのは論理量子ビットです。論理量子ビットは、多数の物理量子ビットを量子誤り訂正(QEC)で束ね、長時間かつ信頼性の高い計算を目指す単位を指します。CUDA-Q Logicalは、その論理量子ビットを実用化するまでの設計判断を、単一のソフトウェア層で比較・検証しやすくすることを狙います。
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なぜ「協調設計」が必要なのか
耐障害量子コンピュータは、量子アルゴリズムだけ、あるいは量子ビットの方式だけを選べば完成するものではありません。採用するQEC符号によって必要な物理量子ビット数は変わり、ハードウェアの接続性はコンパイル結果に影響し、制御や復号の方式は実行時の挙動を左右します。
CUDA-Q Logicalは、こうした相互依存する選択を試せるようにするものです。QECの「ガジェット」(誤り訂正を構成する操作群)を表現・組み合わせるための言語ツールを用意し、異なるシステムアーキテクチャで実行する際に必要となる資源を把握できるようにします。構成を入れ替え、結果を比較し、開発の早い段階で候補設計を検証するワークフローを想定しています。
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基盤となるCUDA-Qは、QPU(量子処理装置)、GPU、CPUを一つのシステムとして統合・プログラムするためのハイブリッド量子・古典計算プラットフォームです。CUDA-Q Logicalは、その上に耐障害量子計算のための論理レイヤーを加える位置付けです。
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比較できる設計項目
NVIDIAによれば、研究者はCUDA-Q Logicalを用いて、主に次のような検討を進められます。
- 耐障害アルゴリズムとQEC操作の記述
- QEC符号やコンパイル手法の比較
- ハードウェアおよびQPUアーキテクチャのモデル化
- 論理量子ビットの目標に対する必要資源の見積もり
- 実装方針を固定する前の、システム全体の性能・資源トレードオフの評価
重要なのは、これが物理ハードウェアの難題を解消する製品だということではない点です。むしろ、前提条件を明示し、別の選択肢と比べられる共通のソフトウェア層を提供するものです。
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発表に合わせて示された活用例
今回紹介された数値や成果は、各組織の特定のワークフロー、モデル、統合に関するものです。耐障害量子計算の能力を一律に示す指標として解釈するべきではありません。
Fermilab:設計評価を約7倍高速化
米フェルミ国立加速器研究所(Fermilab)は、CUDA-Q Logicalを用いて、再現可能で検証可能な耐障害アーキテクチャ開発のワークフローを構築しました。NVIDIAによると、開発評価に要する期間は約5か月から3週間へ短縮され、約7倍の高速化となりました。
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Iceberg QuantumとDiraq:論理量子ビットの資源モデル
Iceberg QuantumとDiraqは、Diraqのシリコン物理量子ビット約15万個から、1,000個の論理量子ビットを生み出すことを想定したアーキテクチャをモデル化しました。これは設計モデルと検証ワークフローの成果であり、同社ハードウェア上ですでに1,000論理量子ビットが稼働しているという意味ではありません。
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Infleqtion:qLDPCによる誤り訂正
Infleqtionは、QEC研究用のオープンソースqLDPCライブラリをCUDA-Q Logicalと統合しました。同社は、論理量子ビット当たり約6個の物理データ量子ビットを使う符号を構築・検証したと報告しています。また、その方式では一般的な表面符号のアプローチと比べ、物理データ量子ビットを最大5分の1に抑えられる可能性があるとしています。ただし、この比較は同社が報告した方式と前提に限定され、すべての耐障害システムに当てはまる必要量を示すものではありません。
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Qedma:Quantinuum向け誤差緩和を統合
Qedmaは、Quantinuumのシステムを対象とするワークフロー向けに、QESEMの誤差緩和技術をCUDA-Qへ統合しました。誤差緩和は耐障害量子計算で使う誤り訂正とは異なる技術ですが、この統合はCUDA-Qが、量子ソフトウェアの構成要素と特定ハードウェア向けのワークフローを接続する基盤になり得ることを示しています。
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Quantum Machines:量子・古典制御のリアルタイム連携
Quantum Machinesは、NVIDIAのcudaq-realtime機能を自社のOpen Acceleration Stackに統合しました。NVIDIAによると、このAPIはGPUと量子コントローラ間でマイクロ秒レイテンシのコールバックを可能にし、動作中の量子ビット、GPU、CPUを密に連携させる用途を支援します。
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Sandia:ハードウェア横断の準備度ベンチマーク
サンディア国立研究所は、QUOPSをCUDA-Qで利用可能にしました。NVIDIAはQUOPSを、実用的なアプリケーションに向けた耐障害量子ハードウェアの準備度を評価するベンチマークと説明しています。単一ベンダー固有の尺度ではなく、プラットフォーム横断の評価を支えることが目的です。
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今回のポイント:答えを出すのではなく、設計を比べられるようにする
CUDA-Q Logicalの意義は、「耐障害量子計算が解決した」と宣言することではありません。アプリケーションから物理マシンまでの間に広がる、複雑な設計空間を探索するための共通かつ拡張可能なレイヤーを設けたことにあります。
論理量子ビットのシステムを目指す組織にとって、問うべきことは単に「どの量子ビット方式が最良か」ではありません。アルゴリズム、QEC符号、コンパイラ、アーキテクチャ、制御スタック、古典計算アクセラレーションを組み合わせたとき、必要な資源と性能の目標を満たせるかどうかです。CUDA-Q Logicalは、この問いをモデル化し、比較し、検証する作業を進めやすくするためのものです。
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提供状況
CUDA-Q Logicalは、GitHub上のオープンソースCUDA-Qプロジェクトの一部として提供されています。CUDA-Qの開発者ページでは、Pythonでの導入コマンドとして次が案内されています。
pip install cudaq
GitHubのリリースノートでは、CUDA-Q Logicalを耐障害量子計算向けの「オープンで拡張可能な論理レイヤー」と位置付けています。
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