日産にとって、Gen4への移行は体制を一新する絶好の機会でもあった。シーズン12はGen3 Evoマシンで戦う最後のシーズンであり、日産は次の技術サイクルの中心としてローランドとの複数年契約をすでに確保している。
数字だけを見ると、最終年は大きな飛躍というより、ほぼ同じ水準の結果だったと言える。今季は5位に入るなど、単発では前年度より目立つ走りもあった。しかし、その好機を継続的なポイント獲得につなげることはできなかった。
ロンドンの最終戦でも、流れを決定的に変える結果は訪れなかった。第1レースでは15位に終わり、第2レースは波乱の展開となった。異例のタイトル決着となったこのレースで、ナトはポイント圏内に分類されたドライバーの一人として報じられている。
総括すれば、ナトには一戦単位で速さを見せる力があった。しかし、日産が次の技術時代に求めるレースシートを維持するには、安定感が足りなかった。
しかし、両シリーズのカレンダーは拡大し、日程の重複も深刻になっている。Gen4時代のFormula Eでは、スパのWEC戦とモナコE-Prixが重なる可能性があるほか、インテルラゴスと上海をめぐる日程の過密化も報じられている。
これは単なる移動の問題ではない。メーカー系チームでは、ドライバーにテスト、レース準備、シミュレーター作業、レース週末への参加を求める。一方、耐久レースのプログラムでは、長時間のイベントに向けた継続的な準備とメーカーとの契約上の責任が必要になる。
そのため、メーカーのハイパーカープログラムにフルタイムで参加しながら、Formula Eにも年間を通して出場する形は、今後ますます難しくなりそうだ。ナトがFormula Eのリザーブ、テスト、開発ドライバーとしてシリーズと関係を保つ可能性は残るが、現時点の報道は耐久レースを主戦場とする見方を強く示している。
ナトは、Formula Eで別のフルタイムシートを探すよりも、キャデラックおよびHertz Team JOTAとのWECプログラムを継続する見通しだ。日産の退団発表は同チームとの章が終わることを示したが、他のFormula Eチームのレースシートと強く結び付ける報道は確認されていない。
もっとも、これが電動シングルシーターとの関係が永遠に終わることを意味するわけではない。日産のマシンを知る経験を生かし、リザーブやテスト、開発面で関わる道は考えられる。ただし、そうした可能性と、Formula Eの正式な将来契約が決まっていることは別だ。
ただし、提供された資料の範囲では、マルタンの加入は正式契約ではなく、あくまで有力候補としての報道にとどまっている。契約がまとまれば、ローランドとマルタンという組み合わせは、実績あるチャンピオンシップリーダーと、Formula Eマシンのテスト経験を持つ若手ドライバーの組み合わせとなる。
Formula EのGen4時代は、2026年12月18日のサウジアラビア・ジェッダE-Prixで始まる予定だ。ナトの退団は、単なるドライバー交代ではない。日産が新たな技術サイクルを、実績のあるエースと刷新されたセカンドシートでスタートさせようとする、大きな体制転換の一部なのである。