さらに深刻なのは、この240万トンという数量が、2026年に見込まれる世界のジェット燃料総消費量(約3億2,100万トン)のわずか0.8%にしかならないという事実です。皮肉なことに、世界のSAF生産能力は既に900万トンに達しており、生産量はその潜在能力の3分の1以下しか活用できていない計算になります
。
結果として、「高い→買い手がつかない→規模の拡大が進まず、さらに高止まりする」という悪循環から抜け出せずにいるのです。
IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は、この状況をさらに悪化させているとして、EUの政策「ReFuelEU Aviation」を真っ向から非難しました。
批判の核心にあるのは、義務化によって生まれた市場の歪みです。IATAの分析によると、欧州の航空会社がSAFを調達する際、その費用は実質的に二重の価格になっています。100万トンのSAFの市場価格が12億ドルであるのに対し、生産者や供給者は**「コンプライアンス費用」**として、さらに17億ドルもの追加料金を請求しているといいます。ウォルシュ氏は、この追加費用があれば、本来さらに数百万トンものCO2削減が可能だったはずだと憤りを露わにしました。
IATAの言い分は明確です。「供給が追いついていない燃料を義務化するだけでは、存在しない燃料を買わなかった航空会社を罰することになる」というものです。IATAは、EUのような一方的で技術を指定するルールはSAF生産の拡大に失敗しているだけでなく、欧州の航空産業の競争力を削いでいると警告しています。
IATAは、こうした協調的な取り組みがなければ、「2050年カーボンニュートラル」という壮大な目標と厳しい現実とのギャップは、今後さらに拡大する一方だと警鐘を鳴らしています。
Comments
0 comments