CFOのトーマス・セイファート氏は、この節目に加えて衝撃的な警告を発した。「現在のトレンドが続けば、5年以内に非人間トラフィックは人間のトラフィックの1000倍に達するでしょう。言い換えれば、人間はインターネット上の‘四捨五入誤差’(rounding error)になる」と述べた 。
この予測に対し、テスラとスペースXのCEOであるイーロン・マスク氏は、自身のソーシャルメディア「X」で「AIエージェントによるインターネットトラフィックが人間の利用を大幅に上回るのは明らかだ。議論の余地すらない。Cloudflareの予測は正確だ」と投稿し、全面的に支持した 。
この急増の主な要因は、自律的にウェブサイトを閲覧し、APIにアクセスし、タスクを実行する「AIエージェント」の急速な普及にある。例えば、AIショッピングエージェントがユーザーに代わって5000ものサイトをチェックする一方、人間の買い物客はせいぜい数サイトしか訪れない。このように、1回の人間のクエリが、数千もの機械リクエストを引き起こす 。
クラウドフレアのCEOマシュー・プリンス氏は決算説明会で、「人類史上初めて、第2四半期にCloudflareのネットワークを流れるトラフィックの50%以上が人間によるものではなくなった」と述べた 。2026年4月の時点で、ボットはすでにCloudflareネットワーク上のHTMLトラフィックの約57%を占めていた 。
イーロン・マスク氏がこの予測を支持する一方で、2008年の住宅市場崩壊を予測し巨額の利益を得た投資家マイケル・バリー氏は、この傾向の経済的持続可能性に疑問を呈している。複数の報道によれば、バリー氏はNVIDIAやテスラなど、AI関連銘柄に対して弱気(ショート)ポジションを構築しているとされる。Yahoo Financeの報道では、バリー氏は「実際に誰が支払っているのか」を知りたがっていると伝えられている 。
リクエスト数は爆発的に増加しているが、機械同士のやり取りにおける収益モデルは未だ確立されていない。この議論の核心はここにある。
このトラフィックの節目と同時に、クラウドフレアは好調な財務実績も報告した。第2四半期の売上高は6億9610万ドル(前年同期比36%増)、非GAAPベースの1株当たり利益は0.29ドルで、アナリスト予想の0.27ドルを上回った 。
これを受けて、同社は2026年通年の売上高予想を従来の28億500万~28億1300万ドルから、28億6400万~28億7000万ドルに引き上げた 。決算発表後、時間外取引で株価は17%上昇し333.95ドルに達した 。
この変化は、より高いインフラコスト、サイバーセキュリティ上の大きな課題、そして人間のユーザーにとっての輻輳(ふくそう)リスクなど、広範な影響を及ぼす。クラウドフレア自身も2026年5月、AIへの適応を理由に従業員の約20%(1100人以上)を削減している 。
クラウドフレアが発表した転換点はリクエスト数に基づくものであり、帯域幅ではない。AIエージェントがよりデータ集約的なタスクを処理するようになれば、ネットワーク容量への真の影響はさらに大きくなる可能性がある 。
セイファートCFO自身が認めるように、彼はこれまでこの予測をことごとく外してきた。しかし、彼が賭けているトレンドは、彼自身のスケジュールよりも早く到来した。