「レアアースなしで同じ航続距離」――テスラの主張
イーロン・マスク氏は9月4日、Xへの投稿で、Cybercabのモーターは「レアアース金属を一切使わないが、同じ航続距離を維持する」と述べ、「実現は極めて難しかった」と強調した。
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ここでいう航続距離は、Cybercabの推定約293マイル(約472km)だ。
15 テスラ関連の発表内容によると、この駆動ユニットは簡素化したヘアピン巻線(bar-wound)ステーターと潤滑システムを採用。高性能EV向け駆動ユニットと比べて18%小型、25%軽量で、より高効率だとしている。また、設計上は完全自動化による10秒未満の組立サイクルを可能にすることを目標としている。
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ただし、これらはいずれもメーカー側の主張である。比較対象となるモーターの詳細、効率マップ、熱特性、耐久試験、コスト、量産時の歩留まりは公開されていない。
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なぜ「レアアース不使用」が重要なのか
EVの小型・高出力モーターでは、強いトルクと高い出力密度を得やすいことから、レアアース系の永久磁石が広く使われている。一方、テスラにとってレアアースを避けること自体が初めてではない。初期のテスラ車は、永久磁石やレアアースを必要としない交流誘導モーターを採用していた。
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その後、テスラはModel 3の時代に、効率、航続距離、大衆車としての経済性を重視して永久磁石モーターの設計を採用した。
22 だからこそCybercabの主張には意味がある。レアアースを使わないモーターは従来から存在するが、小型化・効率・航続距離・量産性を同時に成立させられるかが商業面での本当の難所となる。
テスラはCybercabの磁石材料やローター構造の全容を開示していない。報道や公開仕様をめぐる議論では永久磁石モーターとされており、単に誘導モーターへ戻ったのではなく、レアアースを使わない別の磁石材料を用いた可能性がある。ただし、詳細な技術資料や第三者による分解調査がない以上、これは確認済みの事実ではない。
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45台の運行開始は、量産の証明ではない
テスラは9月3日、テキサス州オースティンの限定エリアでCybercabの乗車サービスを始めた。テキサス州の記録では、同社の自動運転車両群にCybercabが45台登録されている。
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車両が実際に走っていることは示すが、大量生産への準備が整った証拠にはならない。商業的なブレークスルーには、少数の車両が機能するだけでは足りない。部品供給の安定性、高い歩留まり、予測可能なコスト、長期信頼性、気温・積載量・運行条件が変わっても一貫した性能が必要になる。
このため、10秒未満の自動組立という目標は特に重要だ。高い歩留まりを伴って実現できれば、新しいモーター設計をコスト優位へ転換できる可能性がある。反対に、管理された低生産量の条件でしか成り立たなければ、この設計はCybercab専用にとどまり、テスラ全車種のモーターを置き換えるものにはならないかもしれない。
中国依存を減らす可能性、ただし限定的
レアアースを使わない実用的な駆動モーターが成立すれば、テスラはレアアースの精製・磁石サプライチェーンに対する直接的なエクスポージャーを抑えられる。ロイターによると、中国は世界の精製済みレアアースとレアアース磁石の9割超を生産している。
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この集中は戦略上の意味を持つ。中国は2025年4月、米国との貿易摩擦のさなかに一部のレアアース元素に輸出規制を導入した。対象となる材料は、兵器、電子機器、消費財などに使われる。
38 その後、多くのレアアースと磁石の輸出は持ち直した一方、供給逼迫を背景に一部の重要材料の価格は依然として過去最高水準近くにあるとロイターは報じた。
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もっとも、EV用モーター1種類のレアアース不使用化だけで、中国の広範な影響力が消えるわけではない。レアアースはEVに加え、風力発電設備、電子機器、AIハードウェア、防衛装備にも用いられる。
45 規制は鉱石だけでなく、磁石、加工技術、関連する供給網にも及び得る。
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次にテスラが示すべき5つの点
Cybercabのモーターが業界にとって大きな進展となるかどうかは、次の検証にかかっている。
- 実走行での効率と航続距離:気温、速度、乗員・積載量、長期使用といった条件が変わっても競争力を保てるか。
- 耐久性と性能:熱への対応、騒音・振動、経年劣化への強さを示せるか。
- コスト競争力:材料、冷却、制御電子機器、生産の複雑さを含めても、レアアース永久磁石モーターに対抗できるか。
- 大量生産能力:主張する自動化速度、高い歩留まり、信頼できる供給能力を実現できるか。
- 他車種・他社への展開性:より大型のテスラ車や、異なる車両設計を採る競合他社にも応用できるか。
材料調達の自由度と性能、さらに製造面の野心を同時に掲げる点で、テスラの主張は魅力的だ。しかし現時点で入手できる証拠が示す結論は、より限定的である。Cybercabは重要になり得る初期実証ではあるものの、レアアースを使わないモーターが世界規模で従来の高性能EV駆動ユニットを代替できることの証明には、まだ至っていない。
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