つまり、脆弱性を単独の問題として扱うのではなく、攻撃者がどのように組み合わせて悪用するかまで推論できたということです。
この挙動はCloudflareのランタイムシステム、エッジデータパス、プロトコルコード、コントロールプレーン、そしてオープンソースプロジェクトなど、複数の環境で確認されました。
通常、このレベルの攻撃シナリオ構築は経験豊富なセキュリティ研究者が行う作業とされています。
もう一つ注目されたのが、PoCエクスプロイトの自動生成能力です。
Cloudflareの観察によると、Mythosは次のようなプロセスを自律的に進めることができました。
このような反復プロセスにより、AIは単なる脆弱性の指摘から、実際に悪用可能かどうかを検証する段階まで自動化しました。
セキュリティ現場では、PoCを作ることで「本当に攻撃可能なバグか」を判断できます。この工程が自動化されると、脆弱性の優先順位付けや修正判断が大幅に効率化される可能性があります。
Anthropic自身の説明でも、Mythos Previewは以下のような能力を示したとされています。
このことから、Mythosは一般的なコーディング支援モデルではなく、構造的な脆弱性分析と攻撃ロジックの推論に特化した設計になっていると見られます。
ただし、Cloudflareのテストでは問題点も確認されました。
AIは時に実際には悪用できない脆弱性を報告することがありました。特にCやC++のようなメモリ安全でない言語で書かれたプロジェクトでは誤検出が増える傾向が見られ、人間による検証が依然として必要です。
安全対策として組み込まれている拒否機能も、挙動にばらつきがありました。
など、拒否タイミングが一定でないケースが観察されています。
これは、強力なセキュリティ研究能力と悪用防止のガードレールを両立させる難しさを示しています。
今回の結果は、AIが脆弱性研究のあり方を変える可能性を示しています。
防御側にとっては、こうしたAIは次のような利点をもたらします。
しかし同じ能力は、攻撃者にとっても魅力的です。もし同様のモデルが広く利用できるようになれば、バグ発見から実際の攻撃コード生成までのハードルが大きく下がる可能性があります。
Cloudflareはこの結果から、単にパッチを速く適用するだけでは不十分になる可能性があると指摘しています。AIによる高速な脆弱性発見を前提とした、新しいセキュリティアーキテクチャが必要になるかもしれません。
Claude Mythos Previewは典型的なデュアルユース技術の例です。
このリスクのため、Mythos Previewは現在一般公開されておらず、Project Glasswingを通じて一部の企業や組織に限定提供されています。
Cloudflareのテストが示したのは、AIが単なるコード補助を超え、脆弱性発見からエクスプロイト構築までを一貫して推論できる段階に近づいているという現実です。これは今後のサイバー防御と攻撃の両方に大きな影響を与える可能性があります。