| DDR4, DDR5 |
| 15×15 mm FCBGA |
| 量販ハイパフォーマンスルーター、中継機 |
| BCM6776 | 2x2 2.4 GHz + 4x4 5 GHz | DDR4, DDR5, LPDDR4, LPDDR5 | 19×19 mm FCBGA | プレミアムトライバンドルーター(BCM6718と併用) |
業界からの支持:
発表前日の5月26日、BroadcomはBCM68850を発表した。これは業界初の50G ITU-PON(国際電気通信連合標準の高速光回線)対応ホームゲートウェイSoCであり、エッジAI処理のためのニューラルプロセッシングユニット(NPU)を内蔵している点が最大の特徴である。
このチップは、上下対称で最大50Gbpsの通信速度を実現するだけでなく、ゲートウェイ機器自体がAIによる推論処理をローカルで実行することを可能にする。これにより、クラウドとの通信による遅延を減らし、データのプライバシーも向上する。
その他の特徴として、通信事業者やサードパーティ製ソフトウェアの実行を想定した高性能アプリケーションCPU、リアルタイムの異常検知や帯域予測最適化といった「自己修復」機能、そして将来的な量子コンピュータの脅威に備える「耐量子計算機暗号(PQC)」も実装されている。
市場調査会社Omdiaのプラクティスリーダー、Jaimie Lenderman氏は、今回の発表の戦略的重要性を次のように指摘する。「真のエンドツーエンド50Gパイプを確立することで、通信事業者は、目前に迫るWi‑Fi 8の導入サイクルの厳しい要求を支えるために必要な、大容量かつ決定論的な低遅延を提供できるようになります」。
同じく5月27日、Broadcomとサムスン電子は、固定無線アクセス(FWA)市場向けの新たなリファレンスプラットフォームを共同で発表した。これは、BroadcomのトライバンドWi‑Fi 8 SoC「BCM6776」とサムスンの5Gモデム「B1320」を統合した、業界初の設計である。
| コンポーネント | 詳細 |
|---|---|
| Broadcom BCM6776 | クアッドコアArm CPU + ネットワークエンジン、2x2 2.4 GHz + 4x4 5 GHz + 4x4 6 GHz、チップ内蔵パワーアンプ、DDR4/DDR5/LPDDR4/LPDDR5対応、PCIe Gen3 x2、マルチギガビットPHY |
| サムスン B1320 | 5nmプロセス、3GPPリリース17準拠、5G通信速度 下り最大3.43 Gbps / 上り最大1.17 Gbps、4Rx/2Tx、クアッドコア1.6 GHz Cortex-A55、NR-NTNおよびNB-NTN衛星通信対応 |
両社は、この統合プラットフォームにより、従来世代と比較して動作時の消費電力を最大で約50%削減しつつ、5G回線の速度をフルに活かすWi‑Fi通信を実現したとしている。これは、移動体通信事業者が光回線に匹敵するブロードバンドを5G経由で提供するための、低コストな設計図を提供するものだ。
業界の反応:
これら3つの発表に共通するテーマは、「シリコンレベルでの統合」である。新たなWi‑Fi 8 SoCは、複数の独立したチップを一つにまとめ、量販ルーター市場のコストと消費電力を劇的に削減する。BCM68850は、AI処理能力をゲートウェイそのものに組み込むことで、宅内機器を受動的なモデムから、能動的にデータを処理するエッジコンピューティングノードへと再定義する。サムスンとのFWAプラットフォームは、固定無線機器に不可欠な2つの無線機能を事前統合し、OEMメーカーがより速く、より安く製品を市場投入できる道筋を示している。通信事業者がマルチギガビットサービスへと舵を切る中、Broadcomは単なる無線速度の向上ではなく、この「統合」こそが次世代を切り拓く真の鍵であると示している。