レポートが特に脆弱性を指摘するのが、短期保有者の状況だ。彼らの平均取得単価は、市場全体の実現平均価格である77,800ドル(約1,250万円、1ドル160円換算時)を下回っている。これは、最近になって買い参入した多くの投資家が、すでに含み損を抱えていることを意味する。
問題は、この含み損自体が新たな売りを呼ぶ「火種」となることだ。分析によれば、相場が変動する中で、損失を確定させるために投げ売りに走る投資家が連鎖的に現れるリスクがある。これは市場を一旦リセットする「降伏(カピチュレーション)」的な底入れとは異なり、持続的な売り圧力がダラダラと続く展開を示唆している。レポートの見通しは守備的であり、需要の回復や新たなオンチェーン蓄積の兆候がなければ、状況は好転しないとしている。
売り圧力の深刻さは、具体的な損益額にも表れている。レポートの内容を報じた記事によると、市場では現在、1日あたり13.5億ドル(約2,160億円)の実現損失が発生している。さらに注目すべきは、このうち約7.7億ドル(約1,232億円)が、2026年1月以前から保有する長期保有者によるものだと分析されている点だ。
市場全体の収益性も急速に悪化している。実現損益比率(プロフィット・トゥー・ロス・レシオ)は0.29まで急低下した。これは、日本のメディアではパニック寸前の水準と表現されている。0.29という数字は、1ドルの利益が確定するごとに、3ドル以上の損失が確定していることを意味する。
市場がこれだけの痛みを伴っているにもかかわらず、Bitfinexの分析は「底打ち」を宣言していない。むしろ、短期保有者の間に広がる巨額の含み損こそが、新たな自己循環的な売りを生み出す構造的なリスクであると警告している。
市場が守勢を脱し、意味のある回復に向かうためには、スポット市場での実需に基づく買い越しや、オンチェーンデータ上で確認できる新たな蓄積の動きが不可欠だ。投資家にとっては、当面の間、守りの姿勢を維持すべき局面と言える。
なお、このレポートが発表された6月9日時点で、ビットコインの価格は約62,640ドル(約1,000万円)で取引されており、直近の高値から大幅に下落している。より詳細な一次情報については、Bitfinexのリサーチポータル「Bitfinex Alpha」で元のレポートを確認できる
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