Anthropicは、Claudeのチャット機能とClaude Coworkのメモリーシステムを1つに統合しました。チャットでClaudeが保持した情報をCoworkのタスクで使えるようになり、Coworkで得られた有用な文脈も、その後のチャットに反映されます。継続中の仕事や好み、プロジェクトの前提を何度も説明し直す必要が減る、というのが実用面での大きな変化です。182022
Claudeのメモリーは何が変わったのか
これまでは、ClaudeのチャットとCoworkでメモリーの扱いが分かれていました。今回の更新により、対応するワークフローでは両者が1つのアシスタントに近い形で動作します。Anthropicによれば、数か月にわたる会話で積み上げた文脈もCoworkに引き継がれます。Coworkがクラウド上でタスクを実行する場合も対象です。2226
情報の流れは双方向です。
- Claudeチャットで記憶された情報が、Coworkのタスクに役立つ
- Coworkで得られた文脈が、後のClaudeチャットで利用可能になる
- 相談から実作業へ移る際に、継続的な指示やプロジェクトの詳細を一から説明しなくてよくなる
たとえば、チャットでチーム内の指標の定義を説明しておけば、Coworkに次回の四半期業績レビュー資料の作成を依頼する際、その前提を利用できます。プロジェクトの締め切りが変わったことや、好みの文章スタイルといった長期的に役立つ情報も、メモリーに保持されていれば、後続の作業をより適切に進める材料になります。25
これは、単にコンテキストウィンドウが長くなったという話ではありません。コンテキストウィンドウは特定のやり取りに入力された情報を保持する仕組みです。一方、メモリーは、やり取りをまたいでClaudeが利用できるよう別途保存される情報を指します。Anthropicのプラットフォーム文書にあるAPIエージェント向けのメモリーストアは、ワークスペース単位で管理される別の仕組みであり、今回の一般ユーザー向けのチャット・Cowork連携と混同しないよう注意が必要です。17
会話の途中でもメモリーを更新
Claudeは、会話が進行している最中にもメモリーを更新できるようになりました。以前のように、会話が終わってから内容を要約して保存するのを待つ必要はありません。192324
たとえば、会話の途中で「プロジェクトの締め切りが9月に変更された」と伝えた場合、ユーザーが明示的に「これを覚えて」と指示しなくても、その情報が後のやり取りに反映される可能性があります。この機能は、ユーザーが個々の情報を手動で保存するのではなく、役立つ継続性を自動的に取り込むことを目的としています。1825
ただし、自動更新によって便利になるほど、内容の見直しも重要になります。ある会話では正しかった情報が、後から古くなったり、特定の状況にしか当てはまらなくなったりする可能性があるためです。
メモリーの確認・編集・削除が可能に
Anthropicは、Claudeが保持している情報を確認しやすくしました。ユーザーはトピックごとにメモリーを表示し、個別の項目を編集または削除できます。Settings > Memoryから、メモリー機能を一時停止したり、リセットしたりすることも可能です。1921
共有メモリーでは、保存された情報が届く範囲も広がります。何気ないチャットで保存された内容が後のCoworkタスクに影響する一方、エージェントタスク中に得られた情報が次の会話に反映されることもあります。現在Claudeが何を引き継ぐ可能性があるのかを確認するには、メモリー一覧を定期的に見直すのが最も確実です。
センシティブな話題は初期設定で保存されない
Claudeは、センシティブな話題を初期設定ではメモリーに保存しません。例として、健康、民族・人種、ジェンダー・アイデンティティ、宗教、政治的信条などが挙げられています。繰り返し説明する負担を減らしたい場合は、メモリー設定から保存を許可できます。202124
この初期設定は、非常に個人的な情報から自動的に長期的なプロフィールが作られるのを防ぐものです。ただし、Coworkをリスクのない環境と考えてよいわけではありません。Anthropicの案内によれば、Coworkのコンピューター操作では、画面や許可したアプリに表示される個人情報、機密文書などがClaudeに見える可能性があります。機密性の高いローカルファイルを避け、ログイン済みのウェブサイトへのアクセスも慎重に選ぶよう推奨されています。2637
今回提供されている発表・報道資料からは、メモリーへの保存が恒久的に禁止される情報カテゴリーの完全な一覧までは確認できません。したがって、「初期設定で除外される話題」と「Anthropicが永久に禁止しているカテゴリー」は分けて考えるのが正確です。
どこで共有され、どこでは共有されないのか
確認できる資料では、Coworkがクラウド上でタスクを実行する場合に、Claudeチャットとの共有メモリーが利用されます。一方、ユーザーのコンピューター上でローカル実行するCoworkセッションは、チャットとの共有メモリーを使いません。27
2026年8月25日時点の報道では、この機能は一般ユーザー向けに初期設定で有効化され、Free、Pro、MaxプランのWeb、デスクトップ、モバイル版で提供されています。ただし、メモリー設定や保存対象外の話題は別途適用されます。1820
TeamやEnterpriseアカウントのすべてで同じ条件が適用されるか、地域やCoworkの構成によって提供状況が異なるかについては、今回の資料だけでは確実に判断できません。利用中のアカウントの設定画面で確認する必要があります。
Claude Codeは共有メモリーの対象なのか
Claude Codeが、ClaudeチャットとCoworkの共有メモリーシステムに自動的に参加すると考えるべきではありません。今回の発表とサポート資料が説明しているのは、チャットとCoworkの連携です。Claude Codeが同じメモリーを読み書きするとは記載されていません。
開発者向けには、別途APIエージェント用のメモリー機構があります。Anthropicのプラットフォーム文書では、管理対象エージェント向けにワークスペース単位のメモリーストアが説明されていますが、これは一般向けのチャット・Cowork連携とは異なる仕組みで、実装方法やアクセスルールも別です。17
ユーザーにとっての意味
今回の更新により、Claudeのメモリーはチャット内だけの便利機能から、チャットとクラウド上のCoworkタスクをまたぐ継続性の仕組みへと変わりました。主なメリットは、同じ説明を繰り返す手間が減り、仕事の好み、プロジェクトの文脈、変更された予定などを再利用しやすくなることです。
一方で、メモリーが会話中に更新され、別のClaude製品の作業にも影響するようになったため、保存内容を確認する責任も大きくなります。
安全性を重視するなら、次の対応が現実的です。
- Settings > Memoryで保存内容を確認する
- 古くなった情報や不要な項目を削除する
- センシティブな話題の保存は、本当に便利な場合に限って有効化する
- Coworkに機密ファイルや、金銭・個人情報を扱う重要なアカウントへのアクセスを与えない192637