ハラジ師によれば、ペゼシュキアンはこれまでに28回辞任をほのめかしてきたが、今回の警告を受けて「引き下がった」という。ハラジ師はハメネイの言葉として、「もし彼がもう一度辞任を申し出るなら、私はそれを承認する」 と引用している。
これに対し、大統領府と最高指導者府は即座に強く否定した。ペゼシュキアン大統領は自身のビデオ声明で辞任の意思がないことを明確にし、「今は断固として職務を全うする」と述べた。最高指導者府も声明を発表し、この主張は「根本的に誤りであり、全くの虚偽である」と否定。ただし、ハラジ師の名前には直接言及しなかった。両陣営が連携して否定に動いたことは、このリークが政権の安定にとって極めて有害であると認識された証拠だと分析されている。
戦争研究所(ISW)傘下のクリティカル・スレッツ・プロジェクトは、この警告はペゼシュキアンが交渉の場で辞任をカードとして使うのを防ぐ意図があった可能性が高いと分析している。
この権力闘争の根本には、一つの戦略的問いがある。イランは米国と交渉し、ホルムズ海峡を再開すべきか?
英ガーディアン紙も8月4日、ペゼシュキアンがホルムズ海峡を巡る米国との和平に反対する強硬派との戦いの中で、辞任を繰り返しほのめかしたという主張を否定せざるを得なかったと報じている。
ハラジ師はさらに、ハメネイが国家安全最高評議会(SNSC)のトップを交代させる計画も暴露した。ペゼシュキアンが任命したモハマド=バゲル・ゾルガドル現事務局長を、ハメネイの軍事首席補佐官でIRGC出身の強硬派モフセン・レザイ師に交代させるという。SNSCはイランの国家安全保障と核交渉戦略を統括する重要機関である。
この交代が実現すれば、強硬派が同評議会を掌握し、米国やホルムズ海峡問題に対する政権の方針決定における実務派の影響力はさらに低下する。アナリストらは、辞任警告とSNSCトップ交代計画の一連の動きを、モジュタバ・ハメネイが実務派を主要な意思決定から排除するための連携策と分析している。
これらの出来事は、イスラム共和国にとって未曾有の時期に起きている。アリ・ハメネイ師は2026年2月28日、イラン戦争の始まりと同時に暗殺された。その後、3月9日に息子のモジュタバ・ハメネイが専門家会議により新たな最高指導者に選出されたが、就任以来、公の場には一切姿を見せていない。
辞任リークと安全保障評議会の刷新計画は、新最高指導者の下での内部対立を示す最も顕著な兆候であり、進行中の紛争と海上封鎖による存亡の危機によって引き起こされたものと見られている。