Anthropicは2026年9月16日、AIアシスタント「Claude」の操作体系を大きく簡素化した。従来は、短い質問向けのClaude Chatと、複数工程の作業を任せるClaude Coworkを使い分ける必要があった。今後は両者を一つのClaude体験に統合し、ビジュアル制作機能のClaude Designも会話の中から使えるようにする。狙いは、利用者がタスクごとに「どの機能を開くべきか」を判断しなくてよい状態をつくることだ。
8
16
何が変わるのか:ChatとCoworkを一つに
新しいClaudeでは、ちょっとした質問から、調査・報告書作成・資料作成といったより大きな仕事まで、同じ会話スレッドで始められる。利用者は途中で別のワークスペースへ移る必要がなく、依頼が大きくなっても、それまでの文脈を保ったまま進められる。
8
16
ユーザー向けの区分は、従来のChat、Cowork、Designという複数の体験から、基本的にClaude ChatとClaude Codeへ整理される見通しだ。
6
7
「どのモードを使うか」はClaudeが判断
今回の中心的な変更は、タスクの自動振り分けだ。ユーザーは欲しい成果物を自然な言葉で伝える。Claudeは、その依頼に対して会話で答えればよいのか、従来Coworkが担っていたような継続的な作業が必要なのか、あるいは文書・スライド・ビジュアルといった完成ファイルを作るべきなのかを判断する。
8
13
最初は単純な質問でも、やり取りの途中で「この内容を報告書にして」「役員向けのスライドにまとめて」と発展することは多い。この統合により、依頼を最初から正しいモードへ分類する必要はなくなる。内容が曖昧ならClaudeが確認し、最終的な判断はユーザーが持つという位置付けだ。
16
Claude DocsとClaude Slidesをベータ提供
統合と同時に、AnthropicはClaude DocsとClaude Slidesをベータ版として公開した。チャットで下書きを作ってから別のオフィスソフトへ移るのではなく、作成、修正、仕上げを会話の流れの中で進めるための機能である。
2
37
Claude Docs:会話から編集可能な文書へ
Claude Docsでは、会話の内容をもとに編集可能な文書を作成できる。作成後はユーザー自身で修正することも、Claudeに修正を頼むことも可能だ。文書は初期状態で非公開となり、所有者は特定の人、または組織全体に共有できる。
37
47
Claudeのヘルプセンターによると、文書はWord(.docx)、PDF、Markdown、Google Docsへ出力できる。また、Claude Slidesを使って文書をプレゼンテーションに変換することもできる。
39
Claude Slides:作成から発表まで会話内で
Claude Slidesでは、会話を続けながらプレゼンテーションを作成・編集できる。個別スライドの修正、Claude上でのプレゼンテーション、PowerPointまたはPDF形式でのダウンロードに対応する。
37
Claude Design:文章と資料に合うビジュアルも同じ場所で
Claude Designも会話に統合される。たとえば、Claude Docsで1枚ものの説明資料を作り、Claude Slidesでスライド化し、内容に合うビジュアルをClaude Designで用意するといった一連の作業を、製品間を移動せずに進められる。
16
まず使えるのはどのプランか
統合版のClaude Chat/Cowork体験は、ProとMaxの契約者から数週間かけて順次提供される。TeamとFreeプランへの展開は後になる予定だ。
7
44
報道によれば、初期の提供対象はウェブ、デスクトップ、モバイルのClaudeで、DocsとSlidesは有料ユーザー向けのベータ機能として始まった。利用できる機能はプランや段階的ロールアウトの状況で異なるため、実際の提供状況はClaudeのアカウント画面で確認したい。
36
44
ChatGPT Workとの違いは「入口」にある
この動きは、OpenAIが2026年7月に発表したChatGPT Workとも重なる。ChatGPT Workは、調査や分析、連携済みアプリ・ファイルをまたぐ作業を行い、文書、スプレッドシート、プレゼンテーション、レポート、Sitesなどの完成物を作る、より長く複雑なタスク向けのエージェントとして説明されている。
19
OpenAIは、ChatGPTとCodex由来の能力を組み合わせ、コーディング経験がない利用者でも文書、プレゼンテーション、ウェブサイトを作れるようにするとしている。
17
両社とも、AIに「回答」だけでなく実務で使える成果物まで作らせたいユーザーを主な対象にしている。ただし、入口の設計は異なる。ChatGPT Workは長時間・複雑な仕事のためのエージェントとして明確に示される一方、Anthropicは標準のClaude会話の中に作業の自動選択を組み込む。
19
8
つまりAnthropicは、作業モードを選ばせないことが、AIエージェントを日常的なチャットの自然な延長として使ってもらう近道だと考えている。
実務でのポイント:最初に考えるのは「使う機能」ではなく「欲しい成果」
今回の更新後、Claudeで最初に問うべきなのは「どのツールを使うか」ではなく、何を完成させたいかになる。たとえば「この会議メモから提案書を作り、5枚のスライドにして、表紙用のビジュアルも用意してほしい」と目的を伝えれば、Claudeが必要な機能を選び、同じ文脈のまま作業を進めることを目指す。
一方で、AIが作った成果物をそのまま社外提出や重要な意思決定に使うのは避けたい。事実関係、引用・参照元、書式、共有設定、出力後のファイル表示は、必ず人が確認する必要がある。