これまで両国の選手は大会から排除されるか、あるいは
**「個人の中立選手(Individual Neutral Athlete)」**としてのみ参加が認められていた。これは国旗や国歌、代表チームとしての出場が認められない形式だった。
今回の決定により、両国の選手は次のような条件で大会に出場できる。
つまり、戦争開始直後に失われた国としての完全な競技資格が回復したことになる。
オリンピックを統括する国際オリンピック委員会(IOC)は各競技団体に指針を示すが、最終的な出場規則は競技ごとの国際連盟が独自に決めることができる。
2026年5月、IOCはベラルーシ選手への制限はもはや推奨しないと発表し、国際大会や五輪予選への参加の道を開いた。
一方で、ロシアに対する同様の勧告は出されていない。ロシアのオリンピック委員会をめぐる問題などが引き続き議論されているためだ。
そのためFIGの今回の決定は、IOCの現在の立場よりも踏み込んだものといえる。主な違いは次の2点。
国際スポーツでは、地政学的問題が絡むと競技団体ごとに対応が分かれるケースが多く、今回の判断もその典型例といえる。
決定は、FIG大会で行われる主要な体操競技すべてに適用される。具体的には次の5種目だ。
これらの競技に出場するロシアおよびベラルーシの選手は、今後は自国代表として国際舞台に復帰できる。
FIGの規則変更は、同連盟が認定するさまざまな大会に影響する。
これらの大会はランキングや出場枠の獲得につながるため、両国の選手が復帰することで五輪出場争いの構図が変わる可能性がある。
今回の決定は体操界に限った動きではないが、国際スポーツ全体では対応が統一されていない。
例えば、**世界水泳連盟(World Aquatics)**はすでに制限を解除し、ロシアとベラルーシの選手が国旗や国歌のもとで出場することを認めている。
一方、**世界陸連(World Athletics)**は2022年の制裁を維持しており、両国の選手を国際大会から引き続き除外している。
結果として、オリンピック競技の世界では**競技ごとにルールが異なる“分断状態”**が続いている。
今回の決定にはウクライナの政府やスポーツ団体から強い批判も出ている。
ウクライナのスポーツ当局はこれまで、戦争が続く限りロシアとベラルーシの選手を国際大会から排除するよう国際競技団体に求めてきた。国旗や国歌の復活は、紛争が続く中での参加を「正常化」するものだと主張している。
この問題は2022年以降、スポーツと政治の関係を巡る大きな論争の一つとなっている。
今回の決定は、2028年ロサンゼルス五輪に向けた予選にも影響する可能性がある。
ロシアとベラルーシの選手がFIG大会に通常通り出場すれば、他国の選手と同じようにランキングポイントや予選結果を積み重ねることができる。
ただし、最終的な五輪参加条件はIOCが決定する。そのため、いくつかのシナリオが考えられる。
五輪の出場枠争いは大会の数年前から始まるため、FIGの決定はIOCに対して今後の参加ルールを明確化する圧力を強める可能性がある。
今回の判断は、国際競技連盟が政治的問題の中でも独自の参加ルールを決める力を持っていることを改めて示した。
他の競技団体が同様の方針を取るのか、それとも制裁を維持するのか——。
その判断は、ロサンゼルス五輪へ向けた国際スポーツの環境と競争構図を大きく左右することになりそうだ。