封鎖により、インドの精製業者は通常輸入する原油の約4割を失った。彼らは代替調達に狂奔する。ベネズエラ原油はその受け皿となった。2026年4月までにインドは中国の急激な撤退で空いた穴を埋め、ベネズエラ産原油の最大の買い手に躍り出た。同時にロシア産原油も3月には記録的な1日225万バレル(インド全輸入の50%)に急増した。
しかし、紛争が停戦に向かいホルムズ海峡が再開されると、中東のサプライヤーが通常の出荷を再開した。インドの国営精製業者はすでに60日分の在庫を確保しており、ベネズエラ産を緊急購入する必要はなくなっていた。結果、ベネズエラへの依存は急速に解消された。
ベネズエラの顧客基盤は、この7カ月間で過去10年を上回る変貌を遂げた。
中国は完全撤退。 2026年1月の米軍によるマドゥロ前大統領排除作戦以降、中国国営のペトロチャイナは米国管理下にあるベネズエラ原油の購入取引を一切行わないよう指示を出した。制裁下のベネズエラ原油を運んだ最後のタンカーは1月下旬に中国に到着した。米国は「不当に安い価格」での購入を認めない条件を付け、結果的に旧来の割引貿易は事実上停止した。
米国が支配的な買い手に。 7月の米国によるベネズエラ産石油(原油+製品)の輸入は約78万6000バレル/日に急増。これは2019年初頭以来の高水準で、1月の28万4000バレル/日から3倍近い伸びだ。総輸出116万バレル/日の約68%を占める。
インドはなお上位だが減速。 5月のピーク時には42万7000バレル/日を輸入したが、7月は大幅に縮小した。
数値に関する注記: 信頼できる2つのデータセット間に開きがある。ロイターはベネズエラの総石油輸出(原油+製品)を7月に116万バレル/日と伝える。一方、Investing.comなどが引用するKplerデータは原油のみを85万6000バレル/日、25%減としている。ロイターの数字は石油製品を含む可能性が高い。両データとも「インドの購入急減、米国の購入急増」という方向性では一致している。
マドゥロ政権崩壊後のベネズエラの輸出回復は劇的だったが、脆弱だった。7月のデータは、数千キロ離れた中東での停戦、すなわち一時的な緊張緩和が瞬時に需要を掘り崩し、構造的な弱点を露呈させることを示している。
ベネズエラの製油所は依然として劣悪な状態にある。ロイターは「醜く錆びついた」遺物と表現し、長年の投資不足から再生は困難と指摘する。PDVSAの生産能力は過去の水準を大きく下回る。PDVSAの主要パートナー企業は今なお、操業拡大のための米国当局の認可を待っている。
米国は今やベネズエラの石油輸出の販売を掌握している。これは単一のバイヤーへの過度な依存を生み出す。米国の政策転換や国内需要の変化があれば、顧客基盤が多様化していないがゆえに、その影響は極めて大きい。
一方、2025年にはベネズエラ輸出の75%を占めていた中国は、1月以降1バレルも購入していない。マドゥロ政権を長年支えた「石油と融資の交換」の関係は事実上、死に絶えた。
ベネズエラの石油依存経済は、インフラの老朽化、不確実な米国のライセンス条件、バイヤーの過度な集中、さらに進行中の和平交渉など、複数のリスクに直面している。先行きは極めて不透明だ。
結論:7月の輸出急落は一時的な変動ではない。ポスト・マドゥロの石油再生は脆弱な基盤の上に成り立っており、カラカスから遠く離れた世界の出来事が一夜にしてその経済の命運を変え得るという警告信号なのである。