本稿では、銀急落の原因、FOMCが発した具体的なタカ派シグナル、最大下落率、市場心理、そして専門家の間で割れる今後の価格見通しを詳しく解説する。
銀の下落は、2つの段階を経て進行した。
第1段階:FOMC前の織り込み
6月初週、銀は4%超下落し、約65ドルまで値を下げた。市場参加者が年内のFRB利上げの可能性を織り込み始めたためだ。この下落により、銀価格は2025年4月以来となる200日移動平均線を下回る、テクニカル上の重要な節目を割り込んだ。また、5月の米雇用統計(非農業部門雇用者数)が市場予想を上回ったことで、10年物国債利回りが4.5%を突破。ドル高圧力が強まり、銀にはさらなる逆風となった。
第2段階:FOMC後の確認
6月17日のFOMC声明を受け、銀は再び65ドルを割り込み、6月11日以来の安値に沈んだ。ドルが1年ぶりの高値に上昇したことで、週間では約4.5%の下落となる勢いだった。6月19日にはスポット銀価格が65.795ドルまで下落し、1日で3.14%の下げを記録している。
FOMCは6月17日、全会一致でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.50~3.75%に維持することを決定した。これは事前の市場予想通り、4会合連続の据え置きだった。ところが、市場に衝撃を与えたのは、同時に公表された経済見通し四半期報告(SEP)と声明文の詳細だった。
銀スポットの史上最高値は、2026年1月29日に記録した1オンス121.64ドルである。この最高値から6月中旬の約65ドルまでの下落幅は約56~57ドル、率にして約47%に達した。これは近年の貴金属市場においても最も急激な調整の一つと言える。
貴金属に対する市場のセンチメントは急速に悪化した。CMEのFedWatchツールによれば、10月のFOMC会合までの0.25%利上げ確率は61%に上昇。他の試算では、9月会合までの利上げ確率を約70%とする見方もある。
大手運用会社ニューヴィーン(Nuveen)は「2027年までは利下げはない」と明確に予想。FRBメンバーの半数近くが2026年内の利上げを支持しており、トレーダーの間では早ければ数カ月以内にも最初の利上げが実施されるとの見方が広がっている。
専門家の間では、短期的な弱気と中長期的な強気の見方が真っ二つに割れている。
【弱気/慎重派】
【強気/構造論】
銀を取り巻く最大のジレンマは、記録的な供給不足と旺盛な産業需要という中長期的な買い材料と、タカ派FRB、強いドル、悪化したテクニカル指標という短期的な売り圧力が同時に存在していることにある。市場の方向性が定まるには、今後のFRBの姿勢とインフレ動向を注視する必要がありそうだ。
本稿では、銀急落の原因、FOMCが発した具体的なタカ派シグナル、最大下落率、市場心理、そして専門家の間で割れる今後の価格見通しを詳しく解説する。
銀の下落は、2つの段階を経て進行した。
第1段階:FOMC前の織り込み
6月初週、銀は4%超下落し、約65ドルまで値を下げた。市場参加者が年内のFRB利上げの可能性を織り込み始めたためだ。この下落により、銀価格は2025年4月以来となる200日移動平均線を下回る、テクニカル上の重要な節目を割り込んだ。また、5月の米雇用統計(非農業部門雇用者数)が市場予想を上回ったことで、10年物国債利回りが4.5%を突破。ドル高圧力が強まり、銀にはさらなる逆風となった。
第2段階:FOMC後の確認
6月17日のFOMC声明を受け、銀は再び65ドルを割り込み、6月11日以来の安値に沈んだ。ドルが1年ぶりの高値に上昇したことで、週間では約4.5%の下落となる勢いだった。6月19日にはスポット銀価格が65.795ドルまで下落し、1日で3.14%の下げを記録している。
FOMCは6月17日、全会一致でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を3.50~3.75%に維持することを決定した。これは事前の市場予想通り、4会合連続の据え置きだった。ところが、市場に衝撃を与えたのは、同時に公表された経済見通し四半期報告(SEP)と声明文の詳細だった。
銀スポットの史上最高値は、2026年1月29日に記録した1オンス121.64ドルである。この最高値から6月中旬の約65ドルまでの下落幅は約56~57ドル、率にして約47%に達した。これは近年の貴金属市場においても最も急激な調整の一つと言える。
貴金属に対する市場のセンチメントは急速に悪化した。CMEのFedWatchツールによれば、10月のFOMC会合までの0.25%利上げ確率は61%に上昇。他の試算では、9月会合までの利上げ確率を約70%とする見方もある。
大手運用会社ニューヴィーン(Nuveen)は「2027年までは利下げはない」と明確に予想。FRBメンバーの半数近くが2026年内の利上げを支持しており、トレーダーの間では早ければ数カ月以内にも最初の利上げが実施されるとの見方が広がっている。
専門家の間では、短期的な弱気と中長期的な強気の見方が真っ二つに割れている。
【弱気/慎重派】
【強気/構造論】
銀を取り巻く最大のジレンマは、記録的な供給不足と旺盛な産業需要という中長期的な買い材料と、タカ派FRB、強いドル、悪化したテクニカル指標という短期的な売り圧力が同時に存在していることにある。市場の方向性が定まるには、今後のFRBの姿勢とインフレ動向を注視する必要がありそうだ。