国際エネルギー機関(IEA)は、2026年の世界EV販売台数を約2300万台と予測。これは世界の新車販売全体の28〜30% に相当し、2025年の約25%(約2000万台)から大きくシェアを伸ばす見通しです。
最大の引き金は、2月末に始まった米イラン間の敵対行為、そしてホルムズ海峡の封鎖による燃料価格ショックです。供給途絶により原油供給が減少し、石油・燃料価格が高騰。この状況が、消費者や政府による電動モビリティへのシフトを加速させました。IEAは、EVがエネルギー安全保障を強化し、「消費者と企業を価格変動から守る」手段として、各国政府の政策対応に組み込まれつつあると指摘しています。
2026年第1四半期は中国と米国の不振により販売が落ち込みましたが、第2四半期に急回復しました。前年同期比では約4%増。2026年上半期を通じて90カ国以上で前年同期比でのEV販売増を記録しています。
「道路車両は世界の石油使用量の約半分を占めており、そのセクターは燃料価格の高騰や供給途絶の影響を特に受けやすい。」 — IEA(Engadgetより引用)
欧州が世界の回復をけん引しました。2026年上半期の主要EV市場の中で最も力強い成長を記録し、欧州での販売が中国・米国の弱さを補う形となりました。IEAの予測では、2026年通年では欧州で販売される新車の3台に1台がEVになると見込まれています。
中国と米国の第1四半期、そして第2四半期序盤の販売は比較的弱含みでした。それでも中国の絶対的な販売台数は依然として大きく、BYDは第2四半期に55万7,090台の完全EVを納車し、テスラ(48万126台)を逆転しました。米国ではトランプ政権が連邦EV税額控除を撤廃し、内燃機関車の燃費基準を弱めたことなどから、EV販売はすでに減少傾向にありました。
記録を更新した市場としては、オーストラリア、ブラジル、インド、韓国、ベトナムが挙げられます。これらの国々では3月から6月までの販売台数が2025年の同期間と比べて約2倍になりました。インドでは3月単月で前年同期比87%増を記録しています。
東南アジアや中南米などの新興市場も、中国自動車メーカーの進出やバッテリー価格の低下を背景に急速に成長しています。
IEAの『Global EV Outlook 2026』では、各国政府がEVを石油価格変動に対するヘッジとして政策に組み込みつつあると強調されています。エネルギー危機の中で、いくつかの政府はEV購入インセンティブを加速。電化をエネルギー安全保障の手段として捉える、より広範な戦略的シフトが起きています。
中国では、EV優遇措置の対象要件が厳格化されたことが市場に影響を与えました。一方でIEAは、中国のEVメーカーの存在感が高まることで、世界市場の競争はさらに激化すると指摘しています。
なお、この予測は第2四半期の急増が完全に集計される前のものであるため、実際の数字は予測レンジの上限側に寄る可能性があります。