最も目立った材料は、2月12日に報じられた2億4,270万ドル相当のETHのBinance入金です。この動きと重なる形でETHは8.5%下落し、2,420ドルを下回りました。
暗号資産市場では、大口保有者が中央集権型取引所へ資産を送ると「これから売るのではないか」と受け止められやすくなります。実際に売ったかどうかとは別に、市場参加者が先回りして買い注文を引っ込めたり、ポジションを落としたりすれば、それだけで価格の重しになります。
もう一つのポイントは需要側です。同じ報道では、現物Ethereum ETFから5,477万ドルの純流出があり、Bitcoin ETFからも2億5,263万ドルが流出していました。これはETHだけの個別問題というより、暗号資産全体でリスクを落とす動きが強まっていたことを示します。
ETFは機関投資家や伝統金融の投資家がETHにアクセスする主要ルートの一つです。そのルートから資金が抜けている局面では、クジラの入金で想定される売りを吸収する買い需要が見えにくくなります。後続の報道でも、現物Ethereum ETFや世界のEthereum投資商品の純流出が続き、需要回復を制限していると指摘されました。
今回の弱さは、供給面と需要面のシグナルが同じ方向を向いた点にあります。クジラの取引所入金は短期的な売り供給への不安を高め、ETF流出は機関投資家の買い意欲が強くないことを示しました。
テクニカル面も悪化を増幅しました。2月12日の報道では2,420ドルがトレンド確認に重要な支持線とされていましたが、その後の分析ではETHが調整局面に入り、2,027ドル付近の支持線と2,148〜2,356ドルの抵抗帯が注目される形になりました。いったん支持線を失うと、市場の目線は一段低い水準へ移りやすくなります。
重要なのは、取引所への入金は売却の可能性を示すサインであって、全額が即座に売られた証拠ではないという点です。そのため、今回の下落は「単独のクジラ売り」ではなく、クジラ関連の警戒、ETF流出、弱い市場心理が重なったフロー主導の売りと見るのが自然です。
さらに、別の報道ではETHの取引所準備高が1,620万ETHと2016年以来の低水準に落ちていたともされており、取引所全体がETHであふれていた、と単純化するのも避けるべきです。
注目すべきは三つです。第一に、大口保有者がさらにETHを取引所へ送るか。第二に、現物Ethereum ETFが純流入へ戻るか。第三に、ETHが後続分析で示された抵抗帯を回復できるかです。
結論として、イーサリアムが2,300ドル近辺を割り込んだ背景には、潜在的な売り供給への不安とETF経由の需要低下が同時にありました。クジラの入金が市場心理を冷やし、ETF流出が買い手不足を印象づけ、その組み合わせが下落モメンタムを強めた、というのが現時点で最も筋の通った読みです。