これらの要因が重なり、テクニカルな攻防は「総崩れ」へと変わり、デリバティブ市場でのハイリスクな対決の舞台が整えられたのです。
2000ドル割れにより、市場は2つの巨大な清算注文群の間に挟み込まれました。一度勢いが付けば、どちらに転ぶにせよ、爆発的な値動きを引き起こす条件が揃っています。
現在の市場価格の下には、約10億ドル相当のロング(買い)ポジションが強制清算の危機に瀕しています 。もし2000ドルを下回る下落が続けば、連鎖的な清算が発生します。まず、あるロングポジションが強制的に決済されることで売り圧力が高まり、価格がさらに下落します。すると、その下落が次のロングポジションの清算を引き起こし、雪崩式に下落が加速するのです。この連鎖が最終的に狙う次の主要なテクニカルサポートゾーンは、1850ドルから1900ドルのレンジです
。
2000ドルを割った瞬間、ロング勢の「痛み」はすでに現実のものとなっていました。Hyperliquid上の最大のETHロングポジションは、「BIT」というエンティティに関連する、18倍の加重平均レバレッジがかかった12万ETHの分散ポジションでした。これに関連する4つのアドレスは、ETHが2000ドルを下回ったことで、なんと合計3386万ドルの未実現損失を被りました。この損失額は、当初の元本である約1650万ドルの2倍以上に達したのです 。
一方の上値、現在の市場価格の上には、さらに危険な状況が広がっています。約20億ドル規模のショート(売り)ポジションが、2150ドルを超えたゾーンに密集しているのです 。もし急激な戻り相場が発生し、価格がこのゾーンに突入した場合、ショート勢は損失覚悟でポジションを買い戻して決済せざるを得なくなります。この買い圧力が価格をさらに押し上げ、さらに多くのショート勢の買い戻しを強いるという、典型的なショート・スクイーズが発生します。
このシナリオの最大の火種となりうるのが、Hyperliquid上のたった一つの「クジラ」のポジションです。ウォレットアドレス「0x50b3」は、約2109ドルの参入価格で、47,604ETHに対して23倍のレバレッジをかけた巨額のショート(想定元本1億33万ドル)を建てました 。このポジションの清算価格は2149.84ドルに設定されています。つまり、参入価格からわずか2%未満の上昇で、この巨大な賭けは自動的に清算されてしまうのです
。もしETHが急反発してこの水準に近づけば、この一つの取引の強制清算だけで、その上に控える数十億ドル規模のショート全体を巻き込むショート・スクイーズに点火するだけの買いの勢いが生まれかねません。
2026年5月28日の市場は、まさに自ら作り出した火薬庫の中に閉じ込められているのです。下落すれば、10億ドル規模のロング清算が連鎖し、1900ドルのサポートを目指して暴落する「下方連鎖」。そして急反発すれば、23倍レバレッジの1億33万ドルのクジラの賭けが導火線となり、2149.84ドルを突破した瞬間に巨大なショート・スクイーズが始まる「上方爆発」。まさに、どちらに動いても数十億ドルが動く、危機的な局面にあると言えるでしょう。
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