今回の上昇局面では、値上がりの裾野が広いことが特徴的だった。
**NEAR Protocol(NEAR)**は週間で81%も急騰し、一時は1.20億ドルという莫大な取引高を伴って24時間で14.88%上昇し2.72ドルをつけた 。**Render(RENDER)**も堅調で、4月に35%上昇した後、5月下旬には24時間で16.78%高の2.33ドルを記録している
。
**人工超知能アライアンストークン(FET)は、前月の62%上昇に続き5月も21%の上昇を達成 。分散型コンピューティングネットワークのBittensor(TAO)**も4月単月で67%と大きく値を上げた
。
より小規模な銘柄ではさらに極端な値動きも見られた。SKYAIは24時間で52%上昇し、月間では約350%の上昇率を記録 。国際送金とDeFi分野での成長を背景にTelcoin(TEL)は週間で76.21%、分散型データストレージへの関心の高まりからIrysは40.12%の上昇を見せた
。5月26日にはWorldcoinも二桁の日次上昇を遂げている
。
今回の投機的な熱狂の多くは、前例のないAI関連の大型IPO(新規株式公開)ラッシュへの期待に支えられていた。
SpaceXは2026年4月初旬に秘密裡に証券届出書を提出し、評価額1.75兆ドルで6月のナスダック上場を目指している。これはサウジアラムコが保持するIPO調達額の世界記録(294億ドル)を大幅に更新するものだ 。
この3社の合計評価額は約3兆〜3.6兆ドル、調達額は総額2000億ドル近くに達する見込みで、これはステーブルコイン全体の時価総額の60%を超える規模だ 。投資家はこれらの歴史的IPOを前に、AIというテーマへのエクスポージャーを得るための「流動性の高い暗号資産版の代替手段」としてAIトークンを捉え、それがハロー効果を生み出している。
しかしアナリストは、これらのIPOが「世界的なリスク資産(暗号資産を含む)から数百億ドルの資金を吸い上げ、機関投資家の資金が新規株式へと向かうことで、暗号資産市場全体の流動性が逼迫する可能性がある」と警告している 。
個人投資家や投機的な資金がAIトークンを追いかける一方で、機関投資家はビットコインとイーサリアムのETFから、歴史的なペースで資金を引き揚げていた。
ビットコインETFは5月22日までに6日連続で純流出となり、15.5億ドルが流出。これにより2026年の純流入額はわずか5.36億ドルにまで減少した 。5月30日までには流出は10日連続に達し、5月7日以降の累積流出額は40億ドルを超えた
。
5月24日までの週だけで、ビットコイン関連の投資商品からは13.2億ドルが流出。これは今年最大の週間流出額であり、暗号資産投資商品全体では14.7億ドルの資金が流出し、2026年で最大の週間流出額を記録した 。
これらのETF流出は、「機関投資家による慎重なポジショニングへの広範な転換」を反映したものだ 。AIトークンがナラティブ(物語)と個人投資家の思惑で上昇する一方、機関投資家は最大かつ最も流動性の高いデジタル資産へのエクスポージャーを静かに減らしていた。この分岐は、特にAIメガIPOが現在AIトークンに流れ込んでいるのと同じ投機資金を吸収し始めた場合、AI暗号資産ラリーの持続性に対して疑問を投げかけるものだ。
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