トム・リー氏の「第1段階の上昇」という見方は、ビットコイン価格を単純に予想するものではない。約7万8,875ドルまでの動きを、機関投資家がポジションを構築し始めた初期局面と捉え、機関投資家の資金流入が続き、米連邦準備制度理事会(FRB)が市場予想以上に金融引き締め姿勢を強めなければ、15万ドルに向かう展開があり得るというシナリオだ。
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ただし、これは確定した市場予測ではない。機関投資家の資金が流出に転じたり、長期金利が上昇したり、株式市場を含むリスク回避の動きが広がったりすれば、前提は崩れる可能性がある。
核心は「流動性」と「普及」の組み合わせ
リー氏の見立ては、大きく2つの力に支えられている。ひとつは、大口投資家が暗号資産にアクセスしやすくなっていること。もうひとつは、リスク資産を買いやすくするマクロ経済環境だ。
同氏は、機関投資家がすでに暗号資産関連株を買っており、2026年第4四半期には暗号資産への資産配分がさらに強まるとみている。取引量の増加についても、個人投資家の買いが一巡したサインではなく、より大きな上昇を前に投資家が準備している動きと解釈している。
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これが、現在の上昇を「第1段階」と呼ぶ理由だ。リー氏の見方では、市場はまだ大口投資家が保有比率を高めている段階にあり、より広範な資産配分の波はこれから始まる可能性がある。
なぜ機関投資家の買いが重要なのか
機関投資家の参加は、主に2つの形でビットコインに影響し得る。第一に、暗号資産関連株や規制下の投資商品を通じて、暗号資産市場に新たな資金を呼び込むこと。第二に、ビットコインを単独の投機対象ではなく、正式なポートフォリオ配分の候補に変えることだ。
年金基金、投資助言会社、企業などがポートフォリオの一部をビットコインに振り向ければ、すぐに売買できる供給量を上回るペースで需要が増える可能性がある。これがリー氏の普及シナリオの基本的な仕組みであり、実際に配分が必ず行われることを証明するものではない。
報じられている機関投資家からの資金流入と、リー氏が予想する第4四半期の資産配分拡大は、15万ドルのシナリオを支える重要な要素になっている。
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9月15日のFRB会合が焦点になる理由
リー氏は、9月15日に予定されるFRBの金融政策会合を、市場の方向を左右する転換点になる可能性があるとみている。報道によれば、同氏の基本シナリオは利上げも利下げも行われない「据え置き」だ。雇用統計や消費者物価指数(CPI)が予想より弱い内容となれば、据え置きでも市場は大きく上昇し得ると主張している。
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この見方に、直ちに利下げが必要なわけではない。重要なのは、会合の結果が投資家の懸念ほど市場に悪材料とならないことだ。政策金利が据え置かれ、同時により強硬な姿勢が示されなければ、9月の急落に備えていた投資家が、リスク資産への投資を積み増す展開も考えられる。
そのためリー氏は、広がっている「9月相場は下落する」という見方を、逆張りの上昇材料になり得ると捉えている。弱気なポジションがすでに積み上がっていれば、予想された悪材料が出なかっただけでも、相場が反対方向へ急速に動くことがある。
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長期国債利回りが果たす役割
もうひとつの重要なマクロ要因が、長期金利の方向だ。リー氏は、長期金利の動向がビットコインや市場全体にとって重要だと指摘している。
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米国の長期国債利回りが低下すれば、将来の利益を重視する成長株などへの金利上昇圧力が和らぎ、相対的にリスクの高い資産も買われやすくなる。リー氏の枠組みでは、その流れがまず株式市場を押し上げ、続いてビットコインや暗号資産関連株に波及する可能性がある。
逆に、長期金利が高止まり、あるいはさらに上昇すれば、このシナリオは弱まる。FRBが政策金利を据え置いても、長期金利が高ければ金融環境は引き締まったままだからだ。最近の報道では、長期金利が高水準にある一方、実効フェデラルファンド金利との差が広がっている点も市場の懸念材料として取り上げられている。
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株価と企業業績はどう関係するのか
リー氏のビットコイン見通しは、リスク資産全体に対する強気な見方の一部でもある。安定した金融政策、低下する長期金利、そして企業業績への期待が同時に強まれば、株式のバリュエーションを支える環境になる。
これは、ビットコインがS&P500種株価指数を押し上げるという意味ではない。両者が共通するマクロ環境の恩恵を受けるという考え方だ。リー氏の見通しを報じた記事では、ビットコインが15万ドルに向かう可能性とともに、S&P500が8,200を上回るシナリオも示されている。
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同氏の従来の市場分析では、企業利益の伸びが株価評価を支える要因としても強調されていた。
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29 ただし今回のビットコインのシナリオでは、業績は補助的な条件であり、価格目標を単独で説明するものではない。
ビットコインの価格目標は同じ時間軸ではない
リー氏が示してきた目標は、ひとつの期限を持つ単一の予測として捉えるべきではない。
- 約15万ドル:約7万8,875ドルからの、比較的近い将来の上昇シナリオ。機関投資家の需要と、FRBが市場にとって悪いサプライズを出さないことが前提となる。
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- 20万〜25万ドル:リー氏の見通しについて報じられた、より強気な延長シナリオ。9月15日の会合を直接のきっかけとする中核予測とは異なる。
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- 最大300万ドル:暗号資産がさらに広く普及し、ビットコインの希少性が評価されることを前提とした長期的な価値シナリオ。9月や第4四半期の価格目標ではない。
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この区別は重要だ。短期の15万ドルという目標は、流動性、投資家のポジション、相場心理に大きく左右される。一方、数百万ドルというシナリオには、金融システムの中でビットコインが果たす役割そのものが、長期にわたって大きく変わる必要がある。
「第1段階の上昇」を崩す要因
リー氏の主張は条件付きであり、次のような前提が外れれば、15万ドルへの道筋は弱まる。
- FRBが市場にとって悪いサプライズを出す:よりタカ派的な発言や利上げは、リスク資産への投資意欲を冷やす可能性がある。
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- 長期金利が高止まり、または上昇する:金融環境の緩和を前提とするシナリオに逆風となる。
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- 機関投資家の需要が一時的なものにとどまる:取引量の増加だけでは、持続的な買い集めの証拠とはいえない。
- 強気材料がすでに価格に織り込まれている:投資家が会合前に買い進めていれば、FRBが据え置いただけでは次の上昇につながらない可能性がある。
- 市場全体がリスク回避に傾く:暗号資産固有の追い風があっても、株式などを含む広範なリスクオフの流れに打ち消されることがある。
最も正確な読み方は、「ビットコインが必ず15万ドルに到達する」ということではない。機関投資家の買い、金融政策への期待、長期金利の動きがそろえば、現在の水準から15万ドルに向かう現実的な道筋があるとリー氏がみている、ということだ。300万ドルという見方ははるかに長期の普及ストーリーであり、短期的には9月15日のFRB会合が「第1段階の上昇」に続きがあるかを試す場となる。