これらは、Sentireが2024年9月に中国で取得した国家薬品監督管理局(NMPA)の認可に続くものであり 、Sentireは今や、数少ない「非欧米発」で複数大陸での市場アクセス権を有する手術支援ロボットの一つとなった。その背景には、約2億7000万ドルに上る強力な資金調達がある 。しかし、この新しい挑戦者は、長年にわたりインテュイティブ・サージカル(Intuitive Surgical)の「ダ・ヴィンチ(da Vinci)」が支配してきた市場で、真に競争力のある選択肢となり得るのだろうか。
2026年半ば時点でのSentireの規制認可ポートフォリオは、以下の3つの主要市場への扉を開く。
しかし、2026年半ば時点では、世界最大の医療機器市場である米国でのFDA(米国食品医薬品局)認可に関する公式発表はない。これは、Sentireが目指す「真のグローバル展開」にとって、当面の大きな課題であり、残された最大の関門と言えるだろう。
Sentire内視鏡手術システムは、遠隔操作型の多腕ロボットプラットフォームであり、複数の診療科にわたる低侵襲軟組織手術向けに設計されている 。認可された臨床応用範囲には、一般外科、泌尿器科、婦人科、胸部外科が含まれる 。システムはサージョンコンソール(術者用操作卓)と3D高精細ビジョンシステムを備え、既存の市場リーダーが採用するマルチポートアプローチを踏襲している。
コーナーストーン・ロボティクスは、欧州における初の正式な臨床評価を、英国のポーツマス病院大学NHSトラスト(PHU)で開始した。クイーン・アレクサンドラ病院でのSentire C1000モデルの運用は2025年半ばに始まり、今後の幅広い普及や追加の規制申請をサポートするための、リアルワールド(実臨床)データを収集する重要なステップとなっている 。
同社が急速な規制面での進歩を遂げられた背景には、わずか11か月の間に実現した2度の大型資金調達ラウンドがある。
Sentireが参入する世界の手術支援ロボット市場は、長らくインテュイティブ・サージカルの「ダ・ヴィンチ」が支配してきた。その市場シェアは推定71%に達する 。しかし、2024年から2025年にかけて状況は変わりつつある。特に、メドトロニック(Medtronic)のモジュール式「Hugo RAS」システムや、CMRサージカル(CMR Surgical)のコンパクトな「Versius」システムといった、説得力のある代替製品が台頭してきたのだ 。
Sentireの競争力は、以下のいくつかの重要な要素に支えられている。
しかしながら、依然として大きな課題も存在する。同社はまだ、自社の治療成績を既存システムと比較した大規模で査読付きの臨床試験データを公表していない。現在の設置台数も、ダ・ヴィンチの数十年にわたる実績や、Hugo RASシステムのような競合他社に蓄積されつつある臨床的証拠と比較すると、ごくわずかである 。さらに、米国FDAの認可がないことは、極めて収益性の高い米国市場での競争から締め出されていることを意味する。今後2~3年のSentireの競争上の真価は、これらの規制面での勝利を、実際の臨床現場での普及と、公表された確固たるエビデンス(科学的証拠)にどこまで結びつけられるかにかかっている。
最先端の手術支援ロボットが、高額な費用のために一部の先進的な病院に限定されることなく、より多くの医療現場に届く未来。コーナーストーン・ロボティクスとSentireシステムの挑戦は、単なる技術競争の枠を超え、ロボット手術の「民主化」が現実のものとなるかどうかを占う試金石となるだろう。