② 頭の動きに追従する、ドルビーアトモス空間オーディオ
発売初日のファームウェアアップデートにより、頭部追跡機能付きのドルビーアトモスが利用可能になります 。音楽や映画のサウンドが、頭を動かしても特定の方向から聞こえるように定位するため、より自然で没入感の高いリスニング体験が得られます。これは、同価格帯の競合製品が強みとする機能に対抗する重要な一手です。
③ 8つのマイクで実現する、大幅進化したノイズキャンセリング
アクティブノイズキャンセリング(ANC)性能も飛躍的に向上しました。マイクの数は前世代の2倍となる合計8つ(片側4つ)に増強 。ゼンハイザーは、この新しいANCシステムにより、周囲の会話音や飛行機の低周波ノイズに対する抑制効果が、MOMENTUM 4と比較して最大3倍に向上したとアピールしています
。通話品質についても、風切り音の自動抑制や、自分の声を自然に聞かせる「オウンボイスディテクション」機能により、クリアな通話が期待できます
。
④ ユーザーが自分で交換できるバッテリーという革命
そして、多くの人が最も注目するであろう点が、ユーザー交換式の700mAhバッテリーです。本体の小さなカバーを一般的なプラスドライバーで開けるだけで、特別な工具や修理センターへの郵送を必要とせず、自宅でバッテリーを交換できます 。
これは、内蔵バッテリーの劣化が製品寿命を決めてしまうことが多いワイヤレスヘッドホンにおいて、製品を「消耗品」から「長く使える投資対象」へと変える、画期的な設計思想です。ゼンハイザーは、交換作業が音響性能に全く影響を与えないこと、そしてバッテリーが過酷な毎日の使用に耐えるよう設計されていることも強調しています 。環境意識やモノを大切にする文化が根強い日本のユーザーにとって、この特徴は極めて大きな魅力となるでしょう。
⑤ バッテリー駆動時間と充電
ANCオンでの最大駆動時間は57時間。前世代の60時間 からはわずかに減少しましたが、それでも競合製品の多くを倍近く引き離す、驚異的なスタミナを誇ります
。5分の短時間充電で約3時間の再生が可能なクイックチャージにも対応しています
。Bluetoothは5.4を搭載し、将来のアップデートで6.0への対応も予定されています
。
42mmドライバーという核はそのままに、MOMENTUM 5は「音の質」と「使い続けるための自由」を大幅にアップデートしました。
駆動時間こそわずかに及びませんが、空間オーディオ、高音質ワイヤレス再生、圧倒的なANC、そして長期使用を可能にするバッテリー交換式設計を獲得した点は、大きな進歩と言えるでしょう。
MOMENTUM 5の最も直接的な競合となるのは、2025年5月に発売されたソニーのフラッグシップ「WH-1000XM6」です。価格も近く、向かうところも同じこの2台。その違いは、両社の設計思想の違いを鮮明に表しています。
二者択一の指針:
ゼンハイザー MOMENTUM 5 Wirelessは、ワイヤレスヘッドホンを「いつかは寿命が来るもの」から「自分でケアしながら永く付き合えるパートナー」へと昇華させました。
399.99ドルという価格は、競合よりも約50ドル安く設定されているにもかかわらず、約2倍のバッテリーライフと、他に類を見ない「バッテリー交換」という拡張性を提供します。これは、製品を大切にする日本のユーザーにとって、極めて響くメッセージではないでしょうか。
「所有する喜び」と「妥協なき音質」。この二つを高い次元で両立させたMOMENTUM 5は、2026年のワイヤレスオーディオシーンにおいて、ひときわ輝く特別な存在となるはずです。