供給ショックによって、運賃はかつてない水準にまで押し上げられた。スクラバー非搭載の非エコ船を対象とするプラッツVLCC指数は、5月26日に日額27万8717ドルを記録し、2024年3月の指数開始以来の長期平均である7万5881ドルを大きく上回った。中型タンカーの運賃も急騰した。ティーケイ・タンカーズは、ホルムズ海峡閉鎖が2026年第1四半期の収益急増の要因であるとし、スエズマックスのスポット運賃が第1四半期に平均6万2124ドル、第2四半期には稼働日の6割で12万1800ドルに跳ね上がったと発表した
。
この目を見張るような収益が、新造船の発注ラッシュを引き起こしている。船主たちは、高止まりする運賃に乗じて利益を得ようと殺到しているのだ。しかし、この活況は自滅の種を内包している。アナリストたちは、海峡が全面的に再開されれば、閉じ込められていた船団と新たに発注された船舶が一斉に市場に溢れ、運賃が急騰した時と同様の速さで暴落する可能性があると警告している。一部のアナリストは、この運賃高騰の一部を既に「実現不可能」と表現している。これは、安全保障上および法律上のリスクから、名目上のチャーター価格では実際の取引が不可能だったことを意味する
。
4月7日、ドナルド・トランプ米大統領は、イランが通常の船舶通航を再開させることを条件に、イランのインフラへの攻撃を2週間停止することに合意した。イランは厳格な条件下で海峡の開放を宣言し、4月17日には、束の間の正常化への期待を抱かせる船舶の通航ラッシュが発生した。紛争開始以来初めて、経済制裁対象の3隻を含む十数隻のタンカーが海峡の通過に成功したのだ
。
しかし、それは1日も持たなかった。4月18日(土)、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は厳格な封鎖を再開し、イラン砲艇がインド船籍の「ジャグ・アーナブ」号や「サンマー・ヘラルド」号を含む商船に向けて発砲した。複数の船舶が針路を反転させるか完全に停止し、無線通信では「いかなる船舶も通過を許さない」との警告が発せられた
。ロイズ・リスト紙はこの瞬間を、「発砲を受け、ホルムズ海峡の船舶交通が再び停止」という見出しで報じた
。
2026年6月初頭現在、海峡は依然としてほとんどの商業航行に対して機能的に閉鎖されている。エネルギー情報会社Kplerのアナリスト、マット・スミス氏は、通航は「ほんのわずか」な状態であり、検証可能な商業航行の出域隻数がゼロになる日もあると報告している。満載のVLCC57隻が依然として海峡周辺で立ち往生しており、この閉鎖状態は少なくとも2026年8月まで続くと予想されている
。
しかし、この水路が一様に通行不可能になったわけではない。イランはIRGCの管理下にある沿岸航路を選択的に開放しており、一部の航行では1隻あたり100万ドルを超える通行料を請求していると報じられている。Kplerが3月1日から5月19日までに追跡した895回の海峡横断のうち、半数以上がこのイラン管理下の航路を利用していた
。同期間中の横断の約40%は、「ダーク」(位置情報非発信)または未確認の航路をとっており、これはおそらく米国が誘導した航路を反映している
。
5月4日、米国はペルシャ湾から商船を護衛する海軍任務「プロジェクト・フリーダム作戦」を開始した。この作戦は開始と停止を繰り返し、トランプ大統領は開始から48時間も経たずに一時停止した後、静かに再開した
。6月1日までの3週間で、米中央軍はこの任務の一環として約70隻の船舶をペルシャ湾に出入りさせ、これまで立ち往生していた40隻近くの船舶が米海軍の調整のもとで脱出した
。
この数字は、Kplerが3月1日から5月19日までに記録した895回の海峡横断という数字と比較され、混乱を招くことがある。これらの数字は矛盾しているわけではない。米軍が追跡しているのは、ここ数週間で自らが直接誘導したごく一部の船舶のみであり、一方Kplerのデータは、より長期間にわたるイラン公認の通過、ばら積み船、小型タンカーを含むすべての横断を捉えているからだ。どちらのデータも同じ事実を物語っている。それは、通航量が戦前のごく一部に過ぎず、海峡が事実上、対立する米国とイランの管理航路に分裂してしまったということだ。
スリランカ近海での制裁対象の無国籍超大型タンカー「MT Davina」の米国による拿捕が、この危機に関連して報じられているが、提供された情報源からは独自に確認できなかった。説明されている船舶(最大200万バレルの原油を輸送可能)は、紛争期間中に米国がインド洋で阻止してきたタンカーのプロファイルと一致するが、具体的な船名、日付、状況については未確認のままである。
ホルムズ海峡危機は世界のタンカー市場を一変させた。海運業界は、歴史的な高運賃を享受する事業者と、出口戦略のない地政学的膠着状態に陥った事業者とに二分されている。海峡再開時の運賃暴落への恐怖は、理論上のものではない。封鎖が1か月続くごとに積み上がる供給過剰の論理的な帰結なのだ。今のところ、世界で最も重要な石油のチョークポイントは依然としてボトルネックであり、その周辺で待機する満載のVLCC57隻は、この紛争においては停戦すらも、一発の銃声で反故にされうることを思い起こさせる、浮かぶ証拠となっている。
Comments
0 comments