投資家向けロードショーは6月4日、JPモルガン・チェースのCEOジェイミー・ダイモンがマンハッタンの本社で主催し、華々しく幕を開けた。同行の富裕層顧客約3500人を前に、ダイモンはリモートで参加したイーロン・マスクに直接インタビュー。冒頭でマスクを「現代のエジソン」と称賛し、この発言は瞬く間に話題となった 。
マスクの母であるメイ・マスクも特別ゲストとして登場した 。スペースXのグウィン・ショットウェル社長兼COOやブレット・ジョンセンCFOもダイモンと共に登壇し、機関投資家だけでなく、今後大規模に参加する個人投資家をも見据えた同社のビジョンを語った
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2025年に49億ドルの純損失を計上した企業に約2兆ドル近い評価額をつけるため、マスクはロケット打ち上げ以上のものを売り込んでいた。SFのような未来像である。複数の報道によると、マスクの売り込みには、宇宙空間のAIデータセンター、月面基地、火星の植民化、さらには軌道上の「月面ホテル」までが含まれていた 。
彼はこのIPOを、人類の地球外への進出を資金面で支えるために必要な手段と位置づけ、同社のスターリンク衛星インターネット事業、巨大ロケット「スターシップ」、防衛部門「スターシールド」を統一的なビジョンで結びつけた 。マスクは、宇宙が最大1000テラワットという未開発のエネルギーポテンシャルを秘めており、地球上で利用されている1テラワットをはるかに凌駕すると主張した
。また、スターリンクの衛星群を現在の約7000基から将来的には10万基にまで拡大する計画も明らかにした
。
株式公開の数日前、スペースXはSFのようなビジョンに具体的な収益を付け加える情報を開示した。6月5日に更新された目論見書で、グーグルがスペースXと複数年にわたる大規模なクラウドサービス契約を締結したことが明らかになったのだ。条件によると、グーグルはスペースXに対し、2026年10月から2029年6月まで、同社のデータセンターにおける計算能力へのアクセス料として、毎月約9億2000万ドル(約1400億円)を支払う 。契約総額は約300億ドル(約4.5兆円)に達する
。
この契約により、グーグルは約11万基のNVIDIA製GPUと、それに関連するCPUやメモリにアクセスできるようになる 。この計算基盤は、もともとマスクのAI研究所「xAI」のために構築されたものだが、xAIは2026年2月にスペースXと合併している
。グーグルのようなテック大手でさえ、GeminiのようなAIモデルの需要に追いつくだけの計算能力を自社で迅速に構築できない中、この契約はスペースXをAIブームにおける主要な「大家」へと変貌させ、その広大なデータセンター設備を収益化するものだ
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先見的な売り込みや話題のグーグルとの契約にもかかわらず、スペースXのファンダメンタルズ(基礎的事業価値)は、ウォール街で激しい議論の的となっている。
複数の独立系株式リサーチ企業は、同社の適正株価は提示価格である135ドルの約半分と分析しており、ブームに乗って購入しようとする個人投資家に対し、重大な警告を発している 。さらに、S&Pは主要指数(S&P 500など)へのSPCXの組み入れを上場後少なくとも1年間遅らせることを決定した。これにより、パッシブ運用のインデックスファンドは、早くとも2027年半ばまで同銘柄を購入する義務を負わない。
超大型IPOにおけるパラダイムシフトとして、スペースXは発行株式の実に30%、金額にして約225億ドル相当を個人投資家に直接割り当てることを決めた。これは、通常の大型IPOにおける個人投資家向け配分(5~10%)の3倍から6倍という異例の比率だ 。
これを実現するため、フィデリティ・インベストメンツはIPO参加に必要な最低口座残高を、通常の50万ドルからわずか2000ドル(約30万円)にまで引き下げた 。その他、ロビンフッド(最低残高不要)、チャールズ・シュワブ、SoFi、モルガン・スタンレーのE*TRADEなどのプラットフォームも参加している
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ただし、アクセスが民主化されたからといって、必ずしも株式を購入できるとは限らない。2倍の申込超過となっているため、「購入意向」を示した個人投資家の大半は部分的な割り当てにとどまるか、多くの場合、上場前の割り当てを全く得られない可能性がある。その場合、ティッカー「SPCX」の取引開始後に公開市場で株式を購入することになる 。6月11日には1500人規模の個人投資家向け説明会も開催され、「友人・家族枠」として発行株式の5%が目論見書に追加されたが、この株式は通常の180日間のロックアップ期間なしで即日売却が可能である点がユニークだ
。
引受幹事は21社で構成され、ゴールドマン・サックスが主幹事を務める 。欧州ではTrade Republicなどのプラットフォームを通じて個人投資家のアクセスも可能になった一方、引受会社は米国の重要技術輸出規制を理由に、香港と中国本土の投資家からの注文を受け付けないよう指示されたと報じられている
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