この仕組みは、従来のIPOのブックビルディング(需要積み上げ)方式を踏襲しつつ、参加の間口を劇的に広げるよう設計されている。具体的な流れは以下の通りだ。
この構造は、クラーケンがxStocksの開始以来用いてきた1:1裏付けモデルを基盤としている。規制された証券インフラプロバイダーであるAlpacaは、xStocksトークンを裏付ける原株式の調達・保管における優先取引先としての役割を担う 。トークンはジャージー島の私的有限会社Backed Assets (JE) Limitedによって発行され、バミューダ通貨庁の認可を受けたPayward Digital Solutions Ltd.を通じて適格なクラーケン顧客に提供される
。
今回のIPOアクセス開始は、トークン化株式が驚異的な速さで拡大してきた最新のステップだ。2025年6月のデビュー以来、xStocksプラットフォームがどのようにスケールしてきたか、以下にまとめる。
保有者数の推移は、状況を如実に物語る。2024年12月時点で、トークン化株式市場全体の保有者数は全プラットフォーム合計で1500人未満だった。それが市場データ分析によれば、2026年3月までにセクター全体で18万5000人を超えたとされる 。
ペイワードの今回の動きは、トークン化された実物資産(RWA)が大きな勢いを見せるタイミングと重なる。バーンスタインのレポートによると、トークン化RWA市場(ステーブルコインを除く)は2026年半ばに510億ドルを突破し、年率42% で成長している 。これは、2026年初頭の約210億ドルから第1四半期だけで約30%増加した水準である
。
長期的な予測は分析機関によってばらつきがあるものの、いずれも力強い成長を示している。例えば、世界の資産トークン化市場は2025年に1.76兆ドルと推定され、2033年までに年平均成長率(CAGR)42.1%で24.5兆ドルに達するとの予測がある 。他の業界アナリストによるさらなる高水準の試算も存在するが、これらは市場の定義や調査方法の違いによるものである
。
明らかなのは、トークン化株式がその中でも最も急成長している分野の一つだということだ。2026年3月時点で、ユニーク保有者数で見たトークン化株式の上位25銘柄のうち、68%をKrakenのxStocksが占めている。また、同社は24時間取引高で上位10銘柄のうち7銘柄をxStocksが占めていると公表している 。
最初のトークン化IPOの割り当ては、数週間以内に開始される見込みだ。ペイワードはまずKrakenの顧客と一部のxStocksアライアンスメンバーにサービスを展開し、2026年を通じて新たな市場と提携パートナーを順次追加していく計画である 。
クラーケン自身にとっても、このトークン化IPOの発表はもう一つの大きな節目と隣り合わせだ。同社は2025年11月に、米国証券取引委員会(SEC)に自社の普通株式のIPOに向けたドラフト登録届出書(Form S-1)を非公開で提出した。発行株式数や仮条件は未定で、SECの審査完了後、市場環境などが整った段階で実施される予定だ 。
当面の間、より大きな構図として描かれているのは、実験段階から確立されたプロダクトへと移行しつつある金融インフラの巨大な変化である。トークン化IPOへのアクセスが、公開価格で、ブロックチェーン上で、世界100カ国以上の誰もがインターネット接続さえあれば可能になる――これは、伝統的資本市場と暗号資産ネイティブ経済の間の壁がますます低くなっていることの、力強いシグナルなのだ。
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