また、雪龍2号の観測点は、同じ調査に参加する研究船雪龍が調査した地点とも連携する。両船の観測点を組み合わせることで、北極海中央部における大気、海氷、海洋の相互作用と、それらが生態系とどう関係するのかを調べる、より広域の観測網を構築する考えだ。
氷芯や雪のサンプルからは、海氷そのものや表面付近の状態を調べるための情報が得られる。氷とともに漂流するブイは、観測点を離れた後も移動しながらデータを収集できる。さらに、リモートセンシングによって現場の外側まで観測範囲を広げ、大気と氷の下の海洋のデータを加えることで、海氷を上下から捉えることができる。
大気・海氷・海洋・生態系を一つの観測計画で捉えることで、個別の測定結果を並べるだけでなく、相互の関係を分析できる。海氷の融解が大気と海洋の相互作用にどう影響するのか、また氷の下の生息環境や生態系の働きにどのような変化をもたらすのかを探るうえで重要なアプローチとなる。
ただし、公開された報道では、装備の詳細な内訳や具体的な対応手順までは明らかにされていない。そのため、現時点で確認できるのは、現場の安全確保に向けた計画と物資が準備されたという事実までだ。
雪龍2号の調査の意義は、季節的な変化が進む時期に、北極の複数の環境要素を関連づけて観測する点にある。得られた記録は、急速な海氷変化の原因やメカニズム、そしてそれに伴う北極海の生態系の変化を研究するための基礎データとなる。
言い換えれば、今回の調査は海氷の表面だけを見るものではない。海氷の上で何が起きているのか、氷そのものがどう変わっているのか、氷の下の海と生態系に何が起きているのかを同時に記録し、それぞれの変化を時間の流れの中で結びつけようとしている。