同社は展示会などでDDR5およびLPDDR5X製品群を公開しており、DDR5チップでは
といった仕様を示している。これらはサーバー、ワークステーション、PC向けの高帯域メモリーとして設計されている 。
国内でDDR5チップが供給され始めたことで、モジュールメーカーは輸入DRAMへの依存を減らしながら、完成品メモリーを組み立てることが可能になった。
こうした動きの象徴が、中国のメモリーモジュールメーカー**Powev(嘉合劲威)**による新製品だ。
同社のブランドSINKERは、64GB DDR5‑5600 RDIMMサーバーモジュールを発表し、複数の主要顧客による検証を経て量産および商用出荷に入ったと報告している 。
この製品の主な仕様は次の通り。
信頼性テストでは、25〜85℃環境での7×24時間フルロード試験や電源変動を想定したテストも実施され、データセンター用途を想定した耐久性を確認したとされる 。
また、このモジュールは国内でパッケージングされたDRAMウェハーを使用していると説明されており、中国国内でのメモリー供給網の強化を示す例とされている 。
DDR5の立ち上がりはPowevだけではない。報道によれば、Comayを含む複数の中国モジュールメーカーがCXMTのDDR5チップをベースにしたメモリー製品を発表している 。
これらの企業は主に**モジュール統合(downstream integration)**の役割を担う。つまりDRAMチップを製造するのではなく、以下のような完成品モジュールを組み立てる。
国内DRAMが供給されることで、中国OEMやサーバーメーカー向けにより多くの国産メモリー製品を提供できるようになる。
現時点で中国製DDR5モジュールの主戦場はサーバー市場だ。特に次の用途で需要が急増している。
産業用コンピューティングや組み込み機器への応用も視野に入るが、具体的な導入事例については公開情報がまだ多くない 。
CXMTはさらなる生産拡大のため、上海のSTARマーケットでIPOを計画している。
目標調達額は**約295億元(約42億ドル)**とされ、この資金は主に次の用途に充てられる見通しだ 。
これは中国政府が進める半導体サプライチェーンの国内強化戦略とも一致する動きとされる。
CXMTのDRAM製造と、PowevやComayのようなモジュールメーカーの組み合わせにより、中国では国内メモリーエコシステムが徐々に形成されつつある。
ただし、Samsung、SK Hynix、Micronといった世界大手と比べると、生産規模、歩留まり、性能ラインナップなどの面で完全な同等性が確認されたわけではない。現在の状況は「確実な前進」ではあるが、長期的な競争力は今後の量産能力やコスト構造、サーバー市場での採用実績に左右される。
それでも、AI需要によるサーバーメモリー市場の拡大が、中国のDDR5開発とサプライチェーン形成を強く後押ししているのは確かだ。