この疑惑は、選挙で選ばれた文民指導部と、国内最強の軍事・治安組織との間の深刻かつ公然たる亀裂を直ちに示唆するものだった。
イラン政府の反応は迅速で、かつ疑いの余地のないものだった。数時間のうちに、複数の政府高官や体制派メディアが、この報道を外国が仕組んだ虚偽情報として一蹴した。
革命防衛隊系のタスニム通信が引用したところによると、大統領府広報局長のエルヤス・ハズラティ氏は、この辞任の噂を「現実とは全く関係のない」ものと呼び、大統領は「全力で国務に邁進し、国民への奉仕に努めている」と断言した 。アナドル通信社の取材に応じたイラン政府高官も、この一連の報道を単なる「メディアゲーム」と断じた
。
他の政府関係者はさらに踏み込んだ。イラン国営メディアと当局者は、この報道を海外の情報機関による工作と結びつけ、現在進行中の微妙な米イラン停戦交渉を揺さぶるための「モサドとイラン・インターナショナルによるプロパガンダ」であると位置づけた 。注目すべきは、イラン・インターナショナル自身も後に、タスニム通信を含むイラン当局者が大統領の辞任を明確に否定したと報じている点である
。
辞任報道自体は未確認であるものの、その根底にある政治的緊張は十分に立証されており、1年以上前から構築されてきたものだ。
改革派であるペゼシュキアン大統領は就任以来、イランの強硬派との絶え間ない闘争の中にある。2025年3月、強硬派は大統領側近2名の辞任に追い込むことに成功。この出来事を受け、大統領が「少し傷ついた」と感じながらも職務続行への決意を示していたことをイラン・インターナショナルは報じていた 。
国家安全保障や経済政策の策定における革命防衛隊の広範な影響力は、長らく摩擦の原因となってきた。3カ月間にわたる軍事衝突の後、現在行われている米国との戦後交渉という状況下では、軍司令官たちが国家の最重要外交政策に対して決定的な影響力を行使しており、緊張の度合いは極度に高まっている 。
イラン憲法の下では、大統領の地位は最高指導者の意向に依存している。仮に辞表が提出されたとしても、最高指導者がそれを受諾するか否かは、全く別の政治的決断となる。受諾となれば、権力中枢における亀裂を公に認め、重大な政治危機を引き起こすことになる。
ヒンドゥスタン・タイムズ、ワイネット、ガルフ・ニュースなどの主要国際メディアは、このスクープの扱いに細心の注意を払っている。情報源が単独の匿名人物であり、イラン政府が事実無根として否定していることを強調しているのだ 。現時点では、深刻な政治的決裂を示唆する、信憑性は高いが未確認の報道に対し、当局による全面的な否定の壁が立ちはだかり、最終的な結末は最高指導者からのいまだ発せられぬ決断にかかっている、と総括するのが最も正確であろう。
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