ドルフィンG DM-iは、欧州で販売されている電気自動車のドルフィン サーフよりも一回り大きなボディを持っています。これは、PHEVに必要な燃料タンクやエンジン、複雑な排気系システムを搭載するための設計上の工夫です。
このように、プラグインハイブリッド版は全長が35mm、全幅が55mmも拡大されています。標準的な電気ドルフィンはBYDの欧州向けBEVラインアップの中で最もコンパクトなモデルですが、ドルフィンGの拡張されたサイズは、その二重の動力源による必然的な結果と言えるでしょう 。
そのシステムに基づく予想スペックは以下の通りです。
航続距離こそが、ドルフィンGの最大のアピールポイントです。BYDはこの車を、電気自動車の「航続距離不安」を解消する特効薬として位置づけています。
BYDはこの車を「手頃な価格」で提供すると述べており、英国の一部メディアでは「英国で最も安価なプラグインハイブリッドになる見込み」と既に報道されています 。しかし、現時点では公式な価格表は発表されていません。
この戦略の重要なピースは、ハンガリーのセゲドにあります。BYDにとって初の欧州乗用車工場では、2026年第1四半期に試験生産が開始され、第2四半期から本格的な量産体制へ移行する計画です 。ドルフィンG DM-iは、このハンガリーの組み立てラインから最初に送り出されるモデルの一つになると広く予想されています
。「メイド・イン・ヨーロッパ」の現地生産は、たとえ将来の通商ルールが変更されたとしても、EU市場に一切の輸入関税なしで車両を供給することを可能にするのです。
ドルフィンGを理解するには、EUの関税構造を知る必要があります。欧州委員会は2024年10月、中国から輸入されるバッテリー式電気自動車(BEV)に対し、相殺関税の発動を決定しました 。BYDの場合、これにより標準的な10%の輸入関税に加えて17%の追加関税が課され、合計で約27%もの関税が価格競争力を著しく削いでいたのです
。この関税措置は、5年間適用されます
。
つまり、ドルフィンGを用いたBYDの戦略は、次の2つの柱で成り立っています。
この動きは、より広範な業界の変化の一部です。実際、EUのBEV関税が発効して以降、BYDや奇瑞汽車などの中国メーカーは、欧州向けのPHEV輸出を急増させています 。また、完全な電気自動車への移行にまだ踏み切れない欧州の消費者層にもPHEVは訴求力があり、通商摩擦を乗り越えながら市場カバレッジを広げる、まさに「一石二鳥」の一手と言えるでしょう
。