このチップは2026年8月11日に中国で発売されるRedmi K100 Proに初搭載され、約400~500ドル(日本円で約5~6万円)のゲーミングスマホ市場を狙う。
V-SeriesのAdreno 840 GPUのクロックは標準版と同じ1.2GHzだが、内部構造が異なる。QualcommはAdreno GPUに「スライス」と呼ばれる独立した演算ユニットを採用しており、標準版が3基なのに対し、V-Seriesは2基。オンチップのGPU専用高速メモリ「Adreno HPM」も18MBから12MBに減らされた。
| 仕様 | 標準 8 Elite Gen 5 | 8 Elite Gen 5 V-Series |
|---|---|---|
| GPU | Adreno 840、3スライス @1.2GHz | Adreno 840、2スライス @1.2GHz |
| GPUキャッシュ(HPM) | 18MB | 12MB |
| CPU | 2×4.6GHz+6×3.62GHz Oryon | 同一 |
| NPU / モデム / メモリ | Hexagon NPU+X80 5G+LPDDR5X | 同一 |
CPU、NPU、モデム、メモリコントローラー、そしてTSMC 3nm N3Pプロセスはすべて標準モデルと共通。GPUだけが違う。
この構成は、製造時の歩留まり向上にも寄与する。GPUの1スライスに不良があったチップを「V-Series」として格下げ販売することで、廃棄ロスを減らせる。
GPUのシェーディング処理能力は標準版の約3分の2になる。ただし、リーカーDigital Chat Stationの情報によれば、『Honor of Kings』『Delta Force』『Peacekeeper Elite』といった人気タイトルでは、標準版と同等のフレームレート安定性を維持できたとされる。
Redmi K100 Proには、このV-Seriesに加えて専用AIゲーミンググラフィックスチップも搭載され、フレームレートの安定化をさらに補う。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| チップ | Snapdragon 8 Elite Gen 5 V-Series(SM8850-1-AB) |
| 発売日 | 2026年8月11日(中国) |
| AnTuTu V11 | 約409万点(Redmi公称) |
| Geekbench 6 | シングルコア 3,429 / マルチコア 10,461(QTI SM8850、16GB RAM、Android 16) |
| ディスプレイ | 6.59インチ有機EL、185Hzリフレッシュレート |
| 価格帯 | 約4,000元(約560ドル、約8万円) |
参考までに、標準のSnapdragon 8 Elite Gen 5を搭載するRedmi K100 Pro MaxはAnTuTu V11で約455万点を叩き出しており、V-Series版との差は約10%だ。
Qualcommは今や8 Elite Gen 5を4種類販売している。
| 派生版 | 型番 | CPUコア | プライムコアクロック | GPU | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準 | SM8850-AC | 8コア(2P+6E) | 4.6GHz | Adreno 840、3スライス、18MB HPM | フラッグシップ(OnePlus 15、iQOO 15など) |
| 高周波数版(for Galaxy) | SM8850-1-AD | 8コア(2P+6E) | 4.74GHz | Adreno 840、3スライス、1.3GHzクロック | Samsung Galaxyフラッグシップ |
| 7コア版 | SM8850-5-AC | 7コア(1P+6E) | ~4.6GHz | Adreno 840、3スライス | 折りたたみ端末(Oppo Find N6など) |
| V-Series | SM8850-1-AB | 8コア(2P+6E) | 4.6GHz | Adreno 840、2スライス、12MB HPM | コスト重視のゲーミングフラッグシップ(Redmi K100 Pro) |
V-Seriesは、GPUのハードウェアを削った唯一の派生版。CPUコア数やクロックを削る他の派生版とはアプローチが異なる。
Xiaomi Redmiシリーズは日本でも正規販売されており、K100 Proが日本市場に投入される可能性は十分にある。また、欧米向けにはPOCO F9がV-Seriesを搭載するとの噂もある。
約5~8万円台の「ミッドレンジ~サブフラッグシップ」スマホが、CPU性能だけは最上位級になるというのは、特に原神やFortnite、Apex Legends Mobileといった負荷の高いゲームをプレイするユーザーにとって歓迎すべき動きだ。GPUは弱まるものの、フレームレートはチューニング次第でカバーできる範囲といえる。
Snapdragon 8 Elite Gen 5 V-Seriesは、GPUだけを賢く削ることで製造コストを下げ、メーカーに「サブフラッグシップゲーミングスマホ」という選択肢を提供する。消費者にとってのトレードオフは明確だ。
「そこそこのグラフィックスでいいから、動作はキビキビしてほしい」というゲーマーには、まさにうってつけのチップと言えるだろう。