新たな大統領令は、ロシア軍の総定員を2,426,130人、軍人を1,535,000人と定めました(従来は総定員2,399,130人、軍人1,510,000人)。クレムリンはこの増員の理由について、ロシア軍内に「軍事建設部隊」を新設するためと説明しています。これは直接的な戦闘力の増強というよりは、組織改編に伴う官僚的な枠組みの変更であることを示唆しています。
これは2022年2月のウクライナ侵攻開始以降、6回目の定員拡大です。これまでの拡大の流れは以下の通りです。
各段階の増員規模は控えめであり、一度に劇的な拡大を行うのではなく、定期的かつ目立たない形で段階的に積み上げていくパターンが見られます。2026年3月の増員は侵攻開始以来最小で、わずか2,640人でした。6月の増員は7,360人、7月の増員は25,000人でした。
戦略国際問題研究所(ISW)など複数の観測筋は、これらの定員数はあくまで「編成上の計画目標」であり、実際に武装下にある兵力を示すものではないと分析しています。実際の戦闘可能な戦力は、この定員数を大幅に下回ると見られています。これらの大統領令は、紙の上でのポスト数(定員枠)を決める法的な組織表を調整するものであり、採用や人員配置の目標を可能にするものですが、実際の充足状況は目標に大きく遅れています。
2026年6月12日、プーチン大統領は今回の大統領令に先立ち、ウクライナ戦線に展開するロシア軍の兵力について「70万人以上」と公に認めました。これはウクライナ紛争に投入された兵力としてロシア政府が公式に認めた最高人数であり、同時に、定員の約半分に過ぎないことも示しています。この乖離は、紙の上の定員と実際の戦闘力との間に依然として大きな隔たりがあることを浮き彫りにしています。