取引完了後24カ月間、メタプラネットには、額面100ドルの非転換型・永久・劣後優先株を最大210万株購入できる権利も付与されます。これは義務ではありませんが、全額行使された場合、追加資金は最大2億1,000万ドルに達します。
取引が完了すれば、Super LeagueはSuperplanet, Inc.へ改称され、ナスダックではSUPAのティッカーを使う予定です。上場企業としての地位とゲーム・メディア事業は維持され、メタプラネットの連結子会社となります。
この点は、事業実体のない企業を利用する一般的な「空箱」型取引とは異なります。Superplanetは、既存の事業、ナスダック上場、そして支配株主からのビットコイン拠出を備えた状態でスタートするからです。Super League自身も、この取引を合併、SPAC取引、リバーステークオーバーではなく、プライベート・プレースメントと説明しています。
ただし、既存事業を残したまま、会社の資本配分をビットコイン保有中心へ大きく転換することになります。投資家は、ビットコイン・トレジャリーとゲーム・メディア事業の両方を評価しなければなりません。
取引完了時点で、メタプラネットはSuper Leagueの発行済み普通株式の約**95.7%を保有する見込みです。Super Leagueが既存のプリファンド・ワラントを行使した場合でも、比率は約93.6%**とされています。
一方、既存株主が保有する経済的・議決権上の影響力は大幅に低下します。取引資料の前提に基づく基本的な取引後株式数では、従来株主全体の持分はおよそ**3.9%**にとどまる可能性があります。最終的な資本構成やワラントの行使状況によって、この割合は変動します。
希薄化には2つの段階があります。
既存株主にとって問題は、希薄化が起きるかどうかではありません。失う持分を上回る価値を、ビットコイン・トレジャリー、継続する事業、そして将来の資金調達機会が生み出せるかどうかです。
この取引により、メタプラネットは日本の親会社と米国のSuperplanetという、2つの上場ビットコイン・トレジャリー基盤を持つことになります。異なる投資家層、通貨、資金調達手段にアクセスできる点が、米国進出の主な狙いです。
とりわけ重要なのが、米国市場における永久優先株などの調達手段です。普通株を追加発行せずに資金を調達できれば、1株当たりのビットコイン保有量を高められる可能性があります。これは経営陣が想定する戦略であり、結果が保証されているわけではありません。
日本市場での普通株発行だけに依存せず、米国市場で優先証券などを組み合わせれば、資金調達先と通貨の分散にもつながります。ただし、優先株は無償の資金ではなく、将来の配当や分配負担を伴う可能性があります。
今回拠出される2,100BTCは、メタプラネットが報告した約4万3,000BTCの保有量の約**4.9%**です。Superplanetにとっては大きな初期資産となる一方、親会社には保有ビットコインの大半が残ります。
Super Leagueは、既存のナスダック上場企業に新たな証券を発行するプライベート・プレースメントであり、SPACやリバーステークオーバーではないと説明しています。ゲーム・メディア事業も継続する予定です。
一方、経済的な効果だけを見ると、戦略的投資家が資産と現金を注入し、ほぼ全株式とガバナンス上の権利を取得する「支配権付きPIPE」に近い面があります。法的な分類は異なっても、既存株主が経験する希薄化の大きさは変わりません。
空箱型取引と比べれば、Superplanetには事業、上場資格、そしてビットコインを直接拠出するスポンサーがあります。その代わり、投資家は変動の大きいビットコイン資産と、従来からのゲーム・メディア事業を同時に引き受けることになります。
取引が成立すれば、米国市場には、企業が保有するビットコインへの株式投資を提供する新たな上場銘柄が誕生します。ビットコインを直接購入せず、上場株式を通じてエクスポージャーを得たい投資家の関心を集める可能性があります。
主なリスクは以下のとおりです。
永久優先株には、継続的な配当・分配義務が発生する場合もあります。Superplanetが発行する優先証券の最終条件はまだ固まっていないため、将来の負担を現時点で定量化することはできません。
参考になるのが、ビットコイン大量保有企業Strategyの事例です。同社は最近、優先株の配当や買い戻しの資金を確保するためにビットコインを売却しました。固定的な優先株負担は、追加調達が不利になった局面で、ビットコイン中心のトレジャリーに資産売却や現金流出を迫る可能性があります。
メタプラネットが受け取る証券には、例外を除き5年間のロックアップが設定される見込みです。これは短期的なスポンサー売却を抑え、長期的な関与を示す材料です。ただし、ビットコイン価格の下落、再調達リスク、ワラント行使による希薄化を防ぐものではありません。
同社は、授権普通株式と授権優先株式の増加、社名変更、コーポレートガバナンス条項の変更などについても承認を求めています。予備委任状資料では、取引に伴う株式発行と定款変更について株主に承認を求めており、計画がまだ確定・実行済みではないことが示されています。
条件が満たされて取引が完了すれば、次の変更が行われます。
承認が完了するまでは、95.7%という保有比率、社名、ティッカーはいずれも予定であり、発効済みの事実として扱うべきではありません。
メタプラネットは、資金調達手段を多様化する取り組みとして、別途「BitBonds」と呼ぶ継続的な社債発行プログラムも開始しました。初回発行は4本の私募債で、総額は約2億円、米ドル換算で約130万ドル。満期はおよそ3年、年利は**4.0〜4.3%**でした。
BitBondsは無担保のシニア債務です。ビットコインを担保に差し入れず、固定的な利払い義務を負う一方、債券保有者はメタプラネットの信用力と、ビットコインに大きく左右されるバランスシートにさらされます。
BitBondsがSuperplanetへ直接投入されるわけではありません。しかし、普通株の発行だけに依存しない資金調達手段を整えるという点では、今回の米国プラットフォーム構想と同じ方向性にあります。調達手段が広がるメリットの一方で、異なるビットコイン相場環境でも返済・利払いを管理しなければならないというコストも生じます。
メタプラネットは、2,100BTCと250万ドルの現金を使い、既存のナスダック上場企業の内部に米国のビットコイン・トレジャリー・プラットフォームを構築しようとしています。取引が完了すれば、Super LeagueはSuperplanetへ改編され、メタプラネットは約95.7%の普通株を握る支配株主となる見込みです。
既存株主にとっては、極めて大規模な希薄化が最大の論点です。将来の投資家にとっては、メタプラネットが拠出する大量のビットコインを背景にした米国上場銘柄へのアクセスが魅力になります。
最終的に問われるのは、Superplanetがワラント、優先株の負担、ガバナンスリスク、ビットコイン価格の変動に押し負けず、普通株1株当たりのビットコイン保有量と企業価値を伸ばせるかどうかです。