発覚を逃れるため、陳被告と共謀者らは暗号化通信アプリを使用し、支払いは暗号資産(テザー/USDT) で行われた。軍用モデム10台に対して、約4万ドルの手付金とさらに約3万ドルの最終支払い(合計7万ドル超)が支払われた
。
共謀者らは複数の密輸ルートを検討した。当初はスイス経由で発送するか、北マリアナ諸島のサイパンで引き取る案が浮上した。しかし最終的には、メキシコ経由で密輸することで合意した
。検察によれば、陳被告はこの購入計画をあくまで「テスト取引」と表現し、さらに数千万ドル相当の軍事装備を追加購入できる資金があると主張していた
。
陳被告が取得しようとした機器はすべて米国武器輸出管理リスト(US Munitions List) に記載されており、国際武器貿易規制(ITAR)の厳格な輸出規制の対象となる。このような機器を合法的に輸出するには、米国国務省の国防貿易管理局(DDTC) から輸出許可を得る必要がある
。米国政府は、中国向け輸出許可については「推定却下」の方針を取っており、実際に許可が下りることはほぼない
。
「陳被告は、機密性の高い米軍技術を中華人民共和国に横流ししようとした。これらの技術は、将来、我々米国に対して利用される可能性があった」と、国家安全保障担当のジョン・A・アイゼンバーグ米国司法次官補(当時)は声明で述べている
。
本事件は、米国土安全保障省の移民関税執行局(HSI) と国防総省刑事捜査局の捜査官によって調査された。捜査では、暗号化通信や暗号資産の使用を含む共謀計画の全容、そしてスイス、サイパン、メキシコといった様々な密輸ルートの検討も明らかになった
。