注目を集めているのが、元レッドブル・レーシング代表 クリスチャン・ホーナー の存在だ。
報道によると、リー副社長はカンヌでホーナーと会談し、F1参入の可能なルートについて話し合ったとされる。
ホーナーはレッドブルを20年間率い、複数の世界選手権を獲得した実績を持つ人物。もしBYDのプロジェクトに関与すれば、次のような強みがあるとみられている。
さらにホーナーは現在、プライベートエクイティ投資会社 Oakley Capital のアドバイザーとしても活動しており、モータースポーツ関連事業への資金調達の橋渡し役になる可能性も指摘されている。
複数の報道では、BYDは既存チームの買収よりも ゼロから新しいF1チームを立ち上げる案 を検討しているとされる。
このアプローチにはメリットもある。
ただし、現実的には最も難しい道でもある。新チームの場合、ファクトリー建設、数百人規模のスタッフ採用、エンジン供給契約、FIAおよびF1の承認など、巨大な準備が必要になる。
もう一つの興味深い要素が アルピーヌF1チーム との関係だ。
ホーナーは、アルピーヌの株式取得を検討している投資コンソーシアムの一員と報じられている。
これはBYDがアルピーヌを買収するという意味ではないが、ホーナーがすでにパドック内の投資ネットワークを持っていることを示しており、参入ルートとして理論上の選択肢になる可能性はある。
仮にBYDが本格参戦を決めたとしても、F1参入には政治的・財務的なハードルがある。
2026年には キャデラック(GM) が11番目のチームとして参戦する予定だ。
F1の規定では最大チーム数は 12チーム とされており、つまり新規参入枠は理論上あと1つしかない。
さらに、新規チームには既存チームの賞金配分が減ることへの補償として アンチ・ディリューション(希薄化防止)費用 を支払う必要がある。キャデラックはこの費用として約 4億5000万ドル を支払うことで合意したと報じられている。
この金額だけでも、新チーム参入が極めて高額なプロジェクトであることが分かる。
F1にとって、中国メーカーの参入は戦略的に魅力的な可能性がある。
中国は世界最大級の自動車市場であり、F1は近年この市場での存在感を高めようとしている。中国資本のワークスチームが誕生すれば、ファン層拡大や商業面での効果が期待される。
また、2026年の新パワーユニット規則を背景に、アウディやキャデラックなど複数の自動車メーカーが参入を表明している ことも、メーカー参加の新たな波を示している。
現段階では、BYDのF1参戦計画はまだ「探り」の段階にある。
ただし、F1首脳陣との直接協議や、ホーナーの関与が報じられていることから、単なる噂以上の関心があるのは確かだ。
もし計画が本格化すれば、次のステップが必要になるとみられる。
BYDが最終的にグリッドに並ぶかどうかはまだ不透明だが、今回の動きは、F1がいま世界の自動車メーカーにとって再び魅力的な舞台になっていることを象徴している。