しかし船は警告を無視して進路を変えなかったため、米軍機が「ヘルファイアミサイル」を船の機関室に直接撃ち込んだ 。この精密攻撃により船は航行不能になったが、沈没はしていない。乗組員は無事と報告されており、その後、米軍が船内に立ち入ることはなかった
。これにより、同船のイランへの航行は阻止された
。
イランの港に対する米軍の海上封鎖は、2026年4月13日、大統領令に基づき開始された 。この作戦は、アラビア湾(ペルシャ湾)およびオマーン湾にあるイランの全ての港を対象に、あらゆる国籍の船舶の出入りを禁じるものだ。一方で、イラン以外の国を発着する船舶の「ホルムズ海峡通過」は妨げないとしている
。
作戦開始から7週間が経過した5月末時点で、その影響は甚大なものとなっている。
米軍が「リアン・スター」を無力化したまさにその日、トランプ大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」に、和平交渉の枠組みの中で「ホルムズ海峡の封鎖を『今後解除する』」と投稿した 。さらに、ホワイトハウスの状況室で、和平合意に応じるかどうかの「最終決定」を下すための会議を開いているとも述べた
。
トランプ氏がイラン側に突きつけた条件は以下の通りだ。
重要なポイントは「何を解除するのか」という点だ。 トランプ氏が言及したのは、あくまでホルムズ海峡の「通航」に関する封鎖の解除である。イランの「港」に対する軍事的な出入港禁止措置は、イランの条件履行が確認されるまで継続される 。これは、米国が行っている「イラン港湾封鎖」と、開戦後にイランが実施した「ホルムズ海峡封鎖」が、法的にも軍事的にも別のものであるという区別に基づいている。
実際、トランプ氏が解除を示唆した翌日の5月30日になっても、CENTCOMは船舶に対して封鎖関連の警告を発し続けていた。イラン革命防衛隊(IRGC)系のタスニム通信も、米軍からの通告が継続していると報じている 。
このトランプ氏の発表に対し、イランは直ちに冷ややかな反応を示した。イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官は5月30日、「現時点でいかなる合意も確定していない」と述べ、米国とのメッセージのやり取りは継続中であることを明らかにした 。さらに、将来のホルムズ海峡の管理について、「それはイランとオマーンのみに関係する問題だ」と牽制した
。
イラン軍に近いファルス通信はさらに踏み込み、トランプ氏の主張を「虚偽と真実が混ざったもの」と一蹴。テヘランが検討中の和平案には、ホルムズ海峡の無条件再開などは含まれていないと報じた 。同報道によれば、この和平案は「段階的な相互コミットメント(commitment for commitment)」の枠組みに基づき、イラン国内で最終承認段階にあるが、まだ最終決定は下されていないとされている
。
今回の封鎖作戦の背景には、2026年2月末に始まった軍事衝突がある。
このように、軍事的圧力と外交交渉は完全に並行して走っており、常にどちらか一方が他方を台無しにする危険性をはらんでいる。「リアン・スター」への攻撃とトランプ氏の「封鎖解除」示唆が同日に起こったのも、この危うい並行状態の象徴と言えるだろう。
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