最後に、規制環境の不透明さとIPOの遅延が、投資家の出口戦略の実現を遠のかせている。SHEINは米国、ロンドン、そして香港と上場先を転々としてきたが、その過程は紆余曲折に満ちている。加えて、製品の安全性、労働慣行、サプライチェーンの透明性、データ取り扱い、そして貿易ルールに関する厳しい監査にも継続的に直面している。IPOの遅延は、初期投資家の出口を遅らせ、リスクを高める。さらに、未上場企業の株式は公開市場のような流動性がなく、非公開取引では高いディスカウントが適用されるのが常であり、結果として評価額はさらに圧迫される。
総じて言えば、SHEINの評価額低下は単なる「業績悪化」を意味するものではない。それは、同社がこれまで前提としてきた「高成長・低コスト・低規制摩擦」というビジネスモデルの根幹が、同時に揺らぎ始めたことを示している。関税とコンプライアンスコストの上昇、競合による利益の蚕食、成長鈍化、そしてIPOの不確実性――これらの要素が複合的に作用し、投資家はより保守的な成長率と利益率の前提で同社を評価せざるを得なくなったのである。