第二に、成長率と収益性の両面で圧力がかかっている。評価額がピークだった時期、投資家はSHEINの高い成長率とサプライチェーンの効率性に対して、高い倍率のバリュエーションを許容していた。しかし、成長が鈍化しコストが上昇する環境下では、市場の関心は「利益を継続的に生み出せるか」という点に移る。報道によれば、SHEINは投資家向けの開示資料において、成長鈍化、高コスト、そして利益への圧力に直面していることを認めており、かつての高評価を維持することは困難になっている。
第三に、競争の激化がSHEINの「希少性」を著しく低下させた。Temuをはじめとする越境ECプラットフォームも、低価格、補助金、直送、そして大規模な広告投資という同様の戦略で消費者を奪い合っている。この競争は、SHEINの粗利率を圧迫するだけでなく、顧客獲得コスト(CAC)の増大を招く。投資家はもはやSHEINを「代替不可能な高成長プラットフォーム」とは見なさなくなった。
最後に、規制環境の不透明さとIPOの遅延が、投資家の出口戦略の実現を遠のかせている。SHEINは米国、ロンドン、そして香港と上場先を転々としてきたが、その過程は紆余曲折に満ちている。加えて、製品の安全性、労働慣行、サプライチェーンの透明性、データ取り扱い、そして貿易ルールに関する厳しい監査にも継続的に直面している。IPOの遅延は、初期投資家の出口を遅らせ、リスクを高める。さらに、未上場企業の株式は公開市場のような流動性がなく、非公開取引では高いディスカウントが適用されるのが常であり、結果として評価額はさらに圧迫される。
総じて言えば、SHEINの評価額低下は単なる「業績悪化」を意味するものではない。それは、同社がこれまで前提としてきた「高成長・低コスト・低規制摩擦」というビジネスモデルの根幹が、同時に揺らぎ始めたことを示している。関税とコンプライアンスコストの上昇、競合による利益の蚕食、成長鈍化、そしてIPOの不確実性――これらの要素が複合的に作用し、投資家はより保守的な成長率と利益率の前提で同社を評価せざるを得なくなったのである。