新「公民科」の方向性
新設された公民科は、旧通識科と比較して以下の点で大きく異なります。
「市民意識」の定義の書き換え
この改革の核心は、「市民としての意識」そのものの定義を政府が書き換えた点にあります。
つまり、政府は「市民意識をなくそうとしている」のではなく、「国家が求める形の市民意識」へとその内容を再定義しようとしているのです。旧通識科が持っていた、政府批判や社会運動につながりかねない側面を削ぎ落とし、国家への忠誠と秩序の遵守を優先させる方向への明確なシフトと言えます。
ただし、注意すべき点
「批判的思考そのものが廃止された」という単純な図式ではありません。新しい公民科のカリキュラムにも「分析」「理解」「比較」といった言葉は残っています。変わったのは、「何を」「どこまで」批判や議論の対象としてよいかという範囲と、教師が授業で扱えるリスクの度合い、そして最終的な評価(試験)の方向性です。