1. 「書き込み」機能:経頭蓋超音波刺激(TUS/tFUS)
超音波を脳の特定部位に集束させることで、非侵襲的に神経活動を調整できます。これは、大脳皮質だけでなく、より深部の脳領域に対しても有効なアプローチです 。例えば、注意に関連する脳領域を刺激することで、視覚運動BCIのエラー率を低減する試みも行われています 。
2. 「読み出し」機能:機能的超音波イメージング(fUS)
一方で、機能的超音波イメージングは、脳の活動に伴う血流変化などを画像化する技術です。これは、脳波(EEG)などとは異なる原理で脳活動を読み出す、非侵襲的BCIの新たな潜在的読み取りチャネルとして議論されています 。
つまり、「超音波は情報を打ち込むだけで、頭蓋内の情報をフィードバックできない」という理解は不正確です。すでに複数の総説論文で、超音波による脳機能イメージング、脳刺激、そしてそれらを組み合わせた閉ループ(クローズドループ)神経調整の概念が示されています 。
理論上は「読み書き」が可能でも、それが成熟した双方向BCIとして機能するかは別問題です。現在の非侵襲的BCIには依然として高いエラー率といった性能限界があるため、超音波刺激による性能向上が研究されているのが現状です 。
最近の研究では、25人の被験者を対象に、集束超音波刺激と機械学習を組み合わせることで、脳波を符号化(エンコード)し、かつ復号化(デコード)する、実験的な双方向BCIの機能が実証されました 。これは画期的な一歩ですが、実用化された製品というよりは、重要な研究進展と捉えるべきでしょう。
超音波技術はBCIにおいて、「書く」(経頭蓋超音波刺激)と「読む」(機能的超音波イメージングやEEGとの統合による閉ループ)という二つの方向性を備えています 。しかし、現在主流の非侵襲的BCIの多くはまだ一方向的な応用が中心で、双方向の閉ループシステムは段階的に検証を進めている、テクノロジーの発展段階にあると言えるでしょう 。