そのため、支援の焦点は「機器を装用しているかどうか」だけでは足りません。家庭でどのような会話が起き、養育者が子どもの発声や発話にどう応じるかも、言語発達を考えるうえで重要な観点になります。関連文献では、It Takes Two to Talk®、Hanen Program®、Talking Mattersのように、自然な生活場面で保護者を支え、子どもの言語発達を促すプログラムも取り上げられています。
このテーマは単発の関心ではありません。2006〜2016年の研究を対象とした系統的レビューは、難聴児と難聴のない子どもで言語入力量が異なるのか、また言語入力が受容言語・表出言語の結果とどう関連するのかを主要な論点として整理しています。
また、関連研究では、48か月時点の通常聴力児、補聴器使用児、人工内耳使用児を比較し、親の言語入力スタイルを検討しています。そこでは、質問、指示、言語的応答、子どもに向けた発話量などが分析対象になっています。
この文献から言えるのは、家庭の言語環境と子どもの言語発達を結びつけて考えることの重要性です。一方で、提示されている情報だけでは、どの養育者応答がどの程度、直接的に言語発達を「引き起こした」のかまでは断定できません。因果関係というより、関連性と支援設計の手がかりとして読むのが慎重です。
また、家庭内の言語環境を扱う研究は、保護者を責めるためのものではありません。むしろ、子どもが日常生活の中でことばを使いやすくなるように、どの場面で、どのような応答や会話の工夫が支えになるのかを見つけるための研究として位置づけるべきです。