東京エレクトロンでは、その影響は顕著だ。2026年度第3四半期(2025年10-12月)の中国売上高は前年同期の2794億円から1755億円に急落し、中国の売上高比率は前期比8.5ポイント低下の31.8%となった。2025年度から2026年度半ばにかけて、TELの中国売上高比率は約44%から約30%に低下している
。
各社は、中国市場の落ち込みを、急増するAI関連製造装置の需要と、韓国・台湾への戦略的な販売シフトで補っている。
AI向け需要が急拡大している。 2025年の半導体製造装置の世界売上高は過去最高の1350億ドルに達し、前年比15%増加した。これは、生成AI向けの先端ロジック回路や高帯域幅メモリ(HBM)への投資が牽引している。東京エレクトロンは、最先端のAIサーバー向け需要が「非常に力強い」と報告しており、DRAM向け投資は2026年後半まで二桁成長を続けると予想している
。同社は2026年度までにAI関連の売上高が全体の40%に達すると見込んでいる
。
ディスコは、シリコンウェーハを切断するためのグラインダーやダイサーを製造しており、世界のAIチップサプライチェーンにおける主要プレーヤーとなっている。2025年12月期第3四半期累計(9ヶ月間)の純売上高は11.5%増、純利益は8.7%増となり、TSMC、SKハイニックス、サムスンからの設備投資需要が貢献した。
地域的なリバランスが加速している。 TELの2026年度第3四半期決算では、韓国の売上高比率が前期比6ポイント上昇し27.1%となった。2025年度通期では、韓国と台湾の比率がそれぞれ4.9ポイント、2.4ポイント上昇し、22.4%、20.7%となった
。SCREENホールディングスやディスコも同様の販売シフトパターンを見せている
。
技術的優位性を防衛策として活用。 TELは2025年初頭に2ナノメートル(nm)チップ向けの極低温エッチング技術を実用化し、精度を高めるとともに中国の競合他社に対する参入障壁を引き上げた。同社は主要装置分野でほぼ独占的な市場シェアを維持しており、例えば塗布・現像装置では世界シェア約88~90%を占め、中国の代替品が容易に追いつけない価格決定力を保持している
。
アナリストは、日本のサプライヤーが中国市場から恒久的に排除される構造的なリスクがあると指摘する。
自給率向上の加速。 中国は2026年までに半導体装置と材料の自給率40%を目標としており、すでに40社の日本企業を輸出規制と「信頼できない実体」リストに追加している。中国の専門家は、日本の規制は「逆効果」であり、日本が抑えようとした国内産業をかえって強化していると特徴付けている
。
報復的な規制。 2026年1月、中国商務部(MOFCOM)は日本向けのデュアルユース品目に対する輸出規制を即時発効した。これは日本の軍事的な最終使用者への輸出を全面的に禁止し、物資の流れを広く制限するものだ。この措置は、世界の加工を中国が支配するレアアースなどの重要鉱物をカバーしており、日本のサプライチェーンに混乱をもたらす可能性がある
。
狭まる時間的猶予。 日本メーカーの売上高に占める中国の比率は構造的に低下している。アナリストは、中国の国産代替品が成熟段階に達した後で市場シェアを再び獲得することは極めて困難だと警告している。もはや問題は、日本が中国市場でシェアを失うかどうかではなく、仮に規制が緩和された場合にどれだけのシェアが戻ってくるかである。
日本の半導体装置メーカーは、歴史的な転換点を迎えている。今回の中国販売10%減は一時的な落ち込みではなく、政策、地政学、産業競争によって引き起こされた構造的な変化だ。AIへのシフトと地理的な多様化によって、各社は当面の収益を維持している。しかし、6年連続で世界最大の半導体装置市場であり続ける中国市場からの恒久的な排除リスクこそが、最大の脅威として立ちはだかっている。
中国の国内エコシステムが成熟し、報復的な規制がエスカレートする中で、日本のサプライヤーは、AI需要だけでは完全には解決できない戦略的な課題に直面している。
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