特に、以下の二つの要因が金の上昇モメンタムを削いでいます。
テクニカル面でも弱気なシグナルが点灯しています。金は最近、2023年10月以来初めて200日移動平均線を下回って取引を終えました。これは多くのトレーダーにとって、上昇トレンドの勢いが尽きたことを示すテクニカル上の重要なブレイクダウンと受け止められています 。より広範なマクロ環境が変化しない限り、強気派が積極的に押し目を買いづらくなる状況です。
金の上値を抑える主要な地政学的要因は、米イラン交渉の進展です。報道によれば、交渉担当者は60日間の了解覚書(MoU)を作成しましたが、5月下旬時点では、トランプ大統領、イランの最高指導者ハメネイ師のいずれからも承認を得られていません 。
報道されている合意案の主な要素は以下の通りです。
6月12日までに、米高官は予備的な枠組みが数日中に署名される可能性が 「非常に近い」 としながらも、「完全にはほど遠い」と警告し、署名式の日時や場所は未定と述べました 。トランプ大統領は「早ければ今週末にも」合意が発表される可能性を示唆しましたが、テヘランは同時に、最終決定は下されていないと表明しました
。その結果、市場を落ち着かせてはいるものの、指導者の最終承認がなく、いつでも崩壊しうる暫定的な枠組みが存在するという状態です。
この方程式のもう半分は金融政策です。6月16~17日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)は、ケビン・ウォーシュ氏にとってFRB議長として初の会合となります 。5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比4.2%上昇と、2023年4月以来の高い伸びとなったことで、タカ派的な見方が強まりました
。
この経済指標を受け、市場の織り込みは劇的に変化しました。トレーダーは**6月会合での金利据え置き確率を97%**と見ていますが、重要なのは、**12月までに少なくとも1回の利上げが行われる確率を70%**と織り込んでいる点です 。このタカ派的な見方の再評価がドルを押し上げ、利子を生まない金の相対的な魅力を低下させ、強気の勢いを直接的に削いでいるのです
。
金の次の大きな動きは、これら競合する力のどちらが先に崩れるかにかかっています。目先のきっかけは明確です。
新たな安全資産需要による上昇シナリオ:
金への下落圧力が続くシナリオ:
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