この下げに拍車をかけたのが、中国の先端半導体製造技術の進展を示す報道である。中国の国有企業が、オランダASMLに対抗しうる液浸型DUV(深紫外線)露光装置の量産を始めたとの情報が流れ、競争激化とAI投資の持続可能性への懸念が一気に噴出した。
米国市場ではS&P500はほぼ横ばい(+0.02%)、ナスダックは0.18%安、ダウ平均は0.51%高と、原油安がブルーチップ銘柄を支える一方、半導体株は引き続き強い売り圧力を受けた。 マイクロン・テクノロジーは7%超下落。エヌビディアは、同社がOpenAI向けデータセンター・プロジェクトの一部として約2500億ドル(約38兆円相当)の融資保証を提供する交渉中とウォール・ストリート・ジャーナルが報じたことを受け、5%下落した。
フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2.2%安と3営業日続落した。
格付け大手フィッチ・レーティングスは7月28日に公表した第3四半期グローバルリスク見通し(Global Risk Outlook)において、AIブーム—そしてその急激な反動—が世界的な信用リスクとして浮上していると明確に警告した。 主要格付け機関がこれほど端的な警告を発するのは初めてのことだ。
フィッチは、S&P500のバリュエーションがドットコムバブル期の水準に近づいていると指摘。2026年上半期の米国社債発行額は前年同期比26%増加したが、その多くがAI関連の資金調達によるものだという。 アマゾン、アルファベット(グーグル)、エヌビディア、メタ、オラクル、スペースXだけで、投資適格級の社債を合計1820億ドル(約28兆円相当)発行した。
同社は、AIの中長期的な可能性は「極めて不透明」であり、この不確実性が市場を脆弱にしていると強調。 「収益の不確実性と、資本市場・経済全体がAIといかに密接に結びついてしまったか、という二つの要素が重なり、脆弱性を生んでいる」とフィッチは述べている。
今回のテクノロジー株急落とフィッチの警告は直接的に連動している。巨額のAIインフラ投資が期待通りのリターンを生むのかという疑念がテック株の急落を招き、その結果、格付け機関が「AI関連資産の調整は今やシステミックな信用リスクである」と評価した、という因果関係だ。 複数の情報源が、これまで市場の上昇を牽引してきたAI関連銘柄が、今や最大の脆弱性になっていると指摘している。
循環的な資金調達リスク—すなわち、AI企業が将来の収益が確約されないインフラ建設のために巨額の借り入れを行う構造—が、今回の懸念の中心となっている。エヌビディアによるOpenAI向け2500億ドルの保証交渉に加え、ある中国半導体メーカーの株価が新規上場初日に急騰(466%高)した事例は、極端なバリュエーションと債務がいかに絡み合っているかを象徴している。 フィッチは、急激な市場の巻き戻しが、世界中の金融市場やマクロ経済、信用状況に広範な混乱をもたらす可能性があると警告している。