RootDataが7月26日に更新した「2026年暗号資産業界死亡プロジェクトリスト」には、運営停止や破産申請、あるいは長期間ウェブサイトが利用不能となったブロックチェーンおよび暗号資産プロジェクトが掲載されています。この数は7月上旬の約70件から急増しており、閉鎖ペースが加速していることを示しています。
ビットメックスは2026年7月23日、2026年9月23日をもって全事業を停止すると発表しました。同社は永久先物(パーペチュアル・スワップ)を発明したパイオニアとして11年にわたって業界を牽引してきました。米国規制当局から累計2億ドル(約300億円)以上の罰金を科され、買収先も見つからなかったことが閉鎖の背景にあります。ただし、経営破綻(はたん)ではなく、秩序だった事業縮小(オーダリ―・ウィンドダウン)です。このニュースを受けて、同社のユーティリティトークンBMEXは約90%暴落しました。
ビットマートも2026年7月26日、9年にわたる事業の終了を発表しました。同日付で新規登録、入金、新規取引は即時停止。すべての取引サービスは2026年8月26日に終了し、プラットフォームは2027年1月31日に完全閉鎖されます。自社発行トークンのBMXは発表を受けて約58~66%下落しました。
アセンドエックスは2026年7月1日付で事業を停止し、自動出金を停止しました。同社は閉鎖の理由として、EUの暗号資産市場規制(MiCA)ライセンスの取得失敗と、戦略的流動性確保のための取引破綻を挙げています。オンチェーンデータによると、同取引所の保有資産1350万ドルのうち約1200万ドルが、自社発行トークンであるUNITEとASDで占められており、ユーザーは資金回収の見通しが立たない状況に置かれています。
アセンドエックスの崩壊の直接的な引き金は、EUのMiCA規制の完全施行でした。また、ビットメックスに対する2億ドル超の規制罰金や、ライセンス取得済み取引所へのシフトが進む業界全体の流れが、未許可またはライセンス取得が不完全な事業者を市場から排除しつつあります。
中央集約型取引所(CEX)やDeFiプロトコル全体で手数料の低下競争が激化し、中堅のプラットフォームが持続可能な収益を上げることが困難になっています。ビットマートも閉鎖の理由として「運営状況、市場環境、将来の戦略的方向性」を挙げています。
流動性は中小規模のプロジェクトから、ごく一部の大手プラットフォームへと急速に移動しています。CryptoRankは、2026年の閉鎖ラッシュについて、「少数の製品が市場シェア、流動性、ユーザーの大部分を吸収した結果、他のプロジェクトは存在意義を失い、負のスパイラルに陥った」と分析しています。
2026年のこの波は、単なる「弱気相場による整理」ではありません。これは、規制の枠組み(MiCAや米国の執行措置) と、規模、コンプライアンス、信頼性を重視するユーザーの行動が、ごく一部の大規模で資金力のあるプラットフォーム以外を締め出しつつある、市場構造の成熟を反映しています。アナリストらは、これを「新たな浄化の段階」と表現し、資本が少数のプロダクトに集中し、数十億ドルを調達しながらもプロダクト・マーケット・フィット(PMF)を達成できなかったプロジェクトが最終的に退出するプロセスだと指摘しています。
この流れは日本の投資家やユーザーにとっても無縁ではありません。海外取引所に資産を預けている場合、同様のリスクがいつ発生してもおかしくないからです。資産の自己管理(セルフカストディ)の重要性が、これまで以上に高まっています。